「四式中戦車 チト試作型」

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 昨今、隣国との領土問題で揺れる日本。陸地を守る兵器の主役、国産の戦車がひそかな話題になっている。

 今年8月、国産では4代目となる最新鋭機種の「10式戦車(ひとまるしきせんしゃ)」が、陸上自衛隊の実弾射撃演習である富士総合火力演習に初参加し、その実力をアピールした。

 開発費が約484億円といわれる同戦車は、主砲から放たれる砲弾の威力が大幅に増した。サスペンション採用で走行時の振動制御にも配慮し、新開発の複合装甲で防御力をアップ。火力、機動力に防衛能力、そのいずれもが飛躍的に向上した模様。さらに国産では初の現場での戦車同士の情報共有などを可能にするC41システムも搭載しており、別名”走るコンピューター”とも称されている。

 この戦車は重量も特徴の一つとなっている。10式戦車の重量は約44トン。これまでの自衛隊の戦車と比較しても約6トンもスリムになった。軽量化は戦車の活動範囲を広げるという。重い戦車では、輸送も自走による移動も、一般の道路や橋梁を利用することができない。日本全国で運用を考えれば、軽さも戦車の重要なスペックとなる。兵器としての能力を損なうことなく、いかに軽くするか。この相反する難題も、10式戦車は見事にクリアしているようだ。気になる値段は、調達初年度となる今年3月までに13両が納入された現時点では、1両約9.5億円。将来的には7億円が目標価格だそうだ。

 一方、現在はハイテク戦車をつくる日本だが、かつては米軍やソ連軍からは”ブリキの玩具”と揶揄されるほど、戦車製造に関して遅れをとっていた。理由は、戦車は歩兵の支援だという発想と、輸送を考え極力重量を抑える必要性があったためだ。そんな日本が、ようやく本格的な戦車をと考え開発されたのが「四式中戦車チト」だった。

 ちなみに名称のチトとは、チは中型、トは開発の順番をイロハで表現している。試作品は2両完成したものの、あえなく終戦。戦後試作品の1両はアメリカに引き渡され、残る1両は静岡にある猪鼻湖(いのはなこ・浜松市北区三ヶ日町)に沈められた。

 この幻のチト戦車は、以前からミリタリーマニアからの人気が高く、プラモデルとして「四式中戦車 チト試作型(4,935円・ファインモールド/本社:愛知県豊橋市)」が発売されている。


「四式中戦車 チト試作型」



 さらに、三ヶ日町で街おこしを考える集団「スマッペ」では、戦車の引き上げを計画中で、今年から本格的な調査に乗り出している。

 平和の維持、戦争を抑止するための手段として、国がある程度の兵器を持つことの是非については、今後も熟考していく必要があるだろう。



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