現在、発売中の「DIME」23号に掲載されている「神保町総研−住宅ローンの借り換えの新法則」を、より理解するための補足解説第2弾(※前回記事/住宅ローン借り換えの新法則「保証料と融資事務手数料の見方」http://dime.jp/genre/55527/)は、住宅ローンの「基準金利」についてである。住宅ローンを扱っている金融機関の大部分は、基準金利を表示している。基準金利は「店頭金利」とも呼ばれ、住宅ローン金利のベースとなる金利だ。以前は、この基準金利がそのまま住宅ローン金利となっていた時期もあったが、住宅ローンの自由化がスタートしてからは、基準金利で貸出しをされることは、事実上なくなった。その代り、基準金利から一定の金利を差し引いた「優遇金利」で、金融機関は貸し出しを行なうことが通例となっている。

  例えば、三菱東京UFJ銀行の住宅ローンのトップ画面を見てみると、10年固定金利型の住宅ローン金利は、「年1.35%」(優遇金利)と表示されている。その近くには、「店頭表示金利 年3.55%」と、「お借入時の店頭表示金利より −2.2%」という優遇金利が算定される根拠が示されている。また、ここ数年、ずっと低金利状態が続いているが、ほとんどの金融機関は基準金利を据え置き、優遇金利を引き下げることで対応している。この基準金利と優遇金利の存在が、住宅ローンを分かりにくくしている一因にもなっているといえよう。

 しかも、この基準金利は、金融機関によってバラバラなのだ。銀行はメガバンクをはじめ、同じにしているところが多い。基準金利の算定方法が明確になっているのだ。「短期プライムレート」と呼ばれる、優良企業向けの短期貸し出しに適用されるレートに、1%を上乗せした金利水準である。11月時点の変動金利型の基準金利は2.475%となっている。

 しかし、ネット銀行では、各行によって基準金利は変わってくる。11月時点のソニー銀行の「住宅ローン」の基準金利は2.072%。住信SBIネット銀行は2.775%である。ソニー銀行と住信SBIネット銀行は、同じ基準金利という名称ではあるが、0.7%以上も違うのである。

■なぜ、基準金利に差が出るのか?

 ただし、一概にどちらが有利と結論付けることはできない。優遇金利を算定する、金利の引き下げ幅が金融機関によって違ってくるからだ。ソニー銀行の基準金利からの引き下げ幅は1%だが、住信SBIネット銀行の引き下げ幅は1.91%。結局、引き下げ後の住宅ローン金利は、住信SBIネット銀行の方が低くなる(最終的な有利or不利はさらに諸費用などを比較しなければならないことに留意)。

 以上のことから、住宅ローンの金利を比較するためには、ローン金利だけでなく、基準金利と優遇金利を算定するための金利の引き下げ幅も比較する必要がある。それが重要なポイントとなるのは、例えば、固定金利型を借りて後、固定期間が終了したときだろう。固定金利型の住宅ローンは、固定期間が終了した後の貸出金利を、「その時点の基準金利から1.2%引き下げた変動金利を適用する」といった条件で決めている。もし、借り入れ時の金利が同じで、他の条件もほぼ同じ住宅ローンがあったとき、この固定期間終了時の基準金利と引き下げ幅を比べることで、どちらがお得か判断ができるケースがあるからだ。

  そもそも、なぜ金融機関によって基準金利はバラバラなのか? 金融機関の資金調達コストなどの違いが影響していると考えられるが、できれば算定基準をある程度明確にして欲しいところだ。メガバンク他の銀行のように、短期プライムレート+1%という明確な基準がわかれば、今後、金利が上昇に転じたとき、ある程度は住宅ローン金利の上昇度合いが推測できる。算定基準が明確でなく、ブラックボックス状態のままでは、基準金利が引き上げられたときに、ユーザーが十分に納得するかどうか。現状のように、基準金利の差が大幅だと、不透明感がぬぐえないだろう。電話や店頭などで相談する際には、そのあたりもチェックしておきたいところだ。

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http://dime.jp/genre/55527/

 (文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。