本誌8月9日号で危機に直面していることを報じた通り、テレビショッピング界の草分け的存在『日本直販』が、11月9日に倒産した。毎日、テレビで目にするような企業だからといって健全というわけではなく、企業財務の実態は、ごく一部の人間しか把握していないことも多い。

 ここにきて、また1社、身近な企業の“倒産カウントダウン説”が飛び交っている。その企業とは、やはり本誌9月13日号で「巨額損失隠し発覚! 深まる経理担当責任者“自殺”の謎」と取り上げた、国産ジーンズの最大手『エドウイン』だ。
 一連の報道の後、会社側は信用回復を図るため、「当社から独立した立場で公正な調査を行う第三者委員会を設置する」と発表。8月31日にはその第1回目が開催された。その後、300億円を超えるデリバティブ損失、600億円にも及ぶ資産架空計上、500億円を超える債務超過状態、10年以上の粉飾決算など、次々と驚愕の事実が明らかになる。
 表面的には、「ユニクロの激安ジーンズに負けて業績が悪化している」といわれていたが、実情は企業体質自体に問題を抱えていたのだ。ジーンズメーカーの名の通り“ボロボロ”だったとはシャレにもならない。

 しかし、さすがは有名ブランド。伊藤忠商事が支援に前向きな姿勢を示すほか、複数の大手企業がエドウインに興味を示しているという。もっとも「各社ともに会社を支援する気はさらさらなく、“503”や“505”を持つ『EDWIN』や『LEE』『Wrangler』などのブランドをそのまま欲しいだけ」(アパレル業界関係者)との指摘もある。
 11月に入ってから行われたバンクミーティングでは、多額の貸し付けを行っている金融機関から「会社更生法を申請しろ」との厳しい要請も聞かれた。一方で、1円でも多く回収したい金融機関からは、軟着陸を求める声も大きくなっている。
 利害関係者のさまざまな思惑が交錯するなか、倒産に追い込まれる可能性が日増しに高まっていることだけは間違いないようだ。