そんなにすごいの? ミサイル防衛システム「アイアンドーム」とは

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Sunday morning, rain is falling♪
Steal some covers♫

Maroon 5の「Sunday Morning」が流れるお洒落な結婚披露宴に雨あられと降り注ぐハマスのロケット弾、それを撃ち落とすイスラエルの迎撃ミサイル。ミサイルがまるで余興の花火と化しています。

これもイスラエルの空をミサイルから守る目に見えないシールド「アイアンドーム(Iron Dome)」の威力ですかね...。

今回のガザ紛争で注目を集めている対空迎撃ミサイルシステム「アイアンドーム」のことを、ちょっと詳しく見てみましょう。


アイアンドームとは...

ロケット攻撃からイスラエルを防衛する目的で作られたミサイル発射網。「鉄のドーム」と言っても野球ドームみたいに1個どっかにあるわけじゃありません。アイアンドームとは迎撃ロケット弾砲台のモジュラー・システムのこと。


現在は5基しかなく戦略的に有利なポイントに設置されてますが、携帯電話の電波塔と同じで、増設すればするほどアイアンドームの「カバレッジ」は全土に広がります。イスラエルによると、アイアンドームの砲台1個につきカバーエリアは半径約60平方マイル(155.4平方km)。

 


 

ロケットを空中で撃ち落とす

アイアンドームの砲台はそれぞれ以下3つのパートで構成されます。

1. ロケット追跡レーダー(イスラエル国境をまたぐと直ちに追跡開始する)
2. ソフトウェア(各ロケット弾の起動を正確に予測する)
3. タミール迎撃ミサイル(イスラエル領内地上から発射し、空中で当たると爆発して空から消える。実際には落ちてきて破片が車に当たったりしてますが)


狙うのは危険なロケットだけ

アイアンドームではなんもない荒れ地に落ちる弾はスルーし、住宅街に落ちるロケット弾だけ選んで狙ってます。ハマスのロケット弾は安物で低性能で誘導システムのようなものは一切装備されてません。それを「数撃ちゃ当たる」で10連発花火のように撃ってくるので、この選別機能は重要。全部撃ち落としてたら時間(と弾)の無駄遣いになりますからね。


お金はべらぼうにかかる

迎撃のロケット弾は1個9万ドル(約740万円)します。1個で済めばいいけれど2個以上かかる場合もあります。イスラエル国防軍(IDF)の発表によると、アイアンドームが迎撃したロケット弾は5日間だけで307個にものぼるらしいので9万ドル(740万円)×307+αという計算に。もちろん迎撃システム本体のお金も含めると膨大な額です。イスラエルは今後、アイアンドームの拡張に10億ドル(約819億円)の予算をつぎ込む計画で、そのうち2億ドル(164億円←訂正!)超は米国からの補助となります。あの弾の5分の1は我々の税金なのね...うう...。


金をかけただけの成果はある...とイスラエルは言っている

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ミサイル防衛は数ある防衛技術の中でも採算性の見極めが難しい分野で、本当に採算取れてるかどうかは「?」なところがあります。あれだけ予算注ぎまくって盛り上げた挙げ句にまったく使い物にならないまま消えた1980年代の米軍戦略防衛構想(スターウォーズ計画)が良い例です。

あと、パトリオットミサイルも米国では推進派が成功率を水増しして問題になりました。今回のアイアンドームについても、イスラエルは「撃墜率は90%近い」と言ってますが、よくよく調べてみると、これはハマスがぶち込んできたロケット弾の9割弱を撃ち落としたって意味ではなくて、イスラエルが打ち上げたロケット弾の9割弱が当たりました、という意味なんですね(参考記事)。

戦争の最中に防衛当事者に「防衛の調子どうですか?」って訊いてもそりゃ耳触りのいいことしか言いませんよね。情勢が落ち着けば、やっとプロパガンダではない本当の数値が出てくるんじゃないでしょうかね。


Interceptor battery photo by IDF

Sam Biddle(原文/satomi)