岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (22) 「円安・株高」は本当に”あの発言”が原因か!?--今こそ、冷静な経済分析を

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「結局、誰に投票するというよりも、この人だけには当選して欲しくない、という気持ちなんだよね」。

お世話になっている出版社の方の談です。

「ネガティブ投票のようなものを併せて実施してもらって、通常の得票数からネガティブ得票数の数字を差し引いてもらうというのはどうだろう」という斬新なアイディアも登場し、なるほどと思った次第です。

衆議院選挙を控え、各方面からのお問い合わせがぱらぱらと来るようになりました。

経済運営でまともなのはいったいどこなのか。

これだけ政党が乱立すると、皆さんが迷われるのも当然のこと。

思想・政治的信条については皆様さまざまな見解をお持ちでしょうし、あえてこうした話題については避けてきたわけですが、今回は岩本沙弓としての見方を、というお声に少しだけお答えできればと思います。

今回の焦点は大きく2つ。

我々の生活に直結する原発をどうするか、消費税をどうするか。

東日本大震災を経験した我々にとって最初の大きな選挙です。

ここで原発の問題を最重要政策として取り上げない方がおかしい。

そして、民主党政権下ではマニフェストにも載っていなかった消費税を堂々と法案として通してしまいました。

しかし、法案が通っただけで実施には至っていません。

法律を変えればまだ廃止もできるのですから、ここは国民の信託を問うべきでしょう。

TPPについては、党首はTPPには反対だが党全体としてはTPP推進を目指すなど一貫性に欠けており、例えばその政党が政権を取ればどちらにでも転びうるわけです。

有権者としてはこうした曖昧な政策に関しては主要な争点からは外すしかなく、そうなると( )つきでTPPということになるかと思います。

そこで、各党の原発・消費税・TPPに対する姿勢ですが、ほぼ、「『原発○=消費税○=TPP○』VS『原発×=消費税×=TPP×』」となっています。

争点が明確でないと言われていますが、はっきりNOを訴えている政党とそれ以外と区別してみると、明快にスタンスは分かれるという印象です。

利害関係も含めて、「原発・消費税・TPP」のセットをどうすべきか、それにしたがって投票すればよい、ということになります。

日銀法については? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

私とて、例えば景気が悪化する中、金利がとんでもなく高止まりしていて日銀に緩和の姿勢がない、というのであれば文句の1つも言います。

しかし、金利0%に張り付いている今の日本では金融政策、つまり金融緩和だけでできることには限界がある--金融政策の基本中の基本については、このコラムを読んで下さっている皆様は、既にご存じのことと思います。

第20回『日銀が金融緩和しても給料上がらず…”あり余る資金”どう民間に流すかが問題』第21回『日銀の「金融緩和」は海外に資金が流れるだけ? ”海外バブル→崩壊”再生産も』(※上記2回のコラムで金融緩和の限界について書きましたので、ぜひご一読下さい。

)いくら選挙用とは言え、現在のような環境下で「景気が悪いのは日銀の金融政策がまずいのだ」などという話を露骨に持ち出してくると、「我が党は金融政策に疎いです」と自ら公言しているように有権者に受け止められはしないかと、逆に心配してしまいます。

そういう意味では日銀への見解は各政党をふるいにかける際のネガティブ・インディケーター(逆指標)として見るのには有効でしょう。

ちなみに無制限量的緩和で円安という話から、為替市場もそれで動きだしたとされているようですが、大量の量的緩和を世界に先駆けて実施した2000年代、いくら資金供給をしても円安にならなかったのは国際金融市場の現場では周知の事実です。