テルミン食器「EaTheremin」がCerevo DASHで支援募集中

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以前お伝えした、音が鳴るフォーク「食べテルミン」が、ガジェット専門クラウドファンディングサイト Cerevo DASH で支援募集中です。本誌指摘を踏まえてかどうか、「EaTheremin いーてるみん」という名前で、フォークだけでなくスプーンもラインナップに登場。支援金額4,000円以上で、フォークかスプーンの量産品を見返りとして貰うことができます。目標金額は100万円、12月7日までに目標を達成すると、めでたく量産開始となります。

先日めでたくイグノーベル賞 (Acoustics Prize) を受賞した、プロジェクト責任者の塚田浩二さんには Cerevo DASH が開始したときの本誌記事に「ガジェット系研究者の作品を世の中に打ち出すきっかけになればと期待している」というコメントを寄せていただいたのですが、それをそのままご自分で体現する形になりました。


追記: Cerevo 岩佐社長によるブログ記事でCerevo DASHを使った産学連携について語られています。
追記2: 新着ビデオをつづきに掲載


「EaTheremin いーてるみん」は塚田さんが2011年に発表された研究を元にしたもので、食べ物を口に運ぶとそれを検知して本体内蔵のスピーカーから音を鳴らす仕組み。あらかじめ登録されたサンプリング音が鳴る「デジタル版」と、名前にふさわしい無階調サイン波が鳴らせる「アナログ版」の2種類がラインナップされています。






下の写真は EaTheremin の試作品。フォークと呼ぶにはあまりに大きな持ち手です。感覚的には、歯ブラシが電動歯ブラシになった程度の成長率でしょうか。量産版では「IPX5級程度の防水性能を予定」とあり、ちょっとした水流程度は防げる予定ですが、食洗機には対応せず。






こちらが検討中の仮デザイン版。さすがにこなれた形状ですが、本当にこの中に部品を押し込んで量産できるのか、量産技術的にもコスト的にも気になるところですが、詳細は明らかになっていません。(追記: 仮デザインは Cerevo が支援したものとのこと。量産品デザインには蓄積のある同社のデザインとあって、期待できそうです)






EaTheremin の使用例を示した2枚の写真。上だけですと想定されるガジェット好きユーザ層を考えてのこととは思えず単に反発を買うだけのような気がしないでもないですが、下の写真で子供の好き嫌いに悩む親への福音になる可能性が示されており、バランスが保たれています。







Cerevo DASH では、学術研究分野での成果を世に出すルートの一つとして、今後もこうした研究者との連携を積極的に進めていく考えのようです。12月に開催されるインタラクティブシステムに関する学会「WISS 2012」では、塚田さんが指導される学生による「TeaTheremin:食事体験を豊かにするインタラクティブな茶器の提案」なる続編とおぼしき発表もあるらしく、今後のさらなる展開もありそうです。加えて、イグノーベル賞受賞の対象となった発話阻害デバイス「Speech Jammer」への期待も高まります。


さて、現在の支援状況ですが、本稿執筆時の11月26日時点では支援者32人・調達額は目標の24%と、いまひとつ奮っていないようです。募集開始してから18日経過してこの状況では、目標達成は厳しく見えます。EaTheremin が「何に役立つのか」「使ってどう嬉しいのか」は、Cerevo DASH に掲載されているページを一見して想像するのはやや難しく、また「こういうガジェットおもしろいね!」という人の中には、無骨な試作品であれば楽に作れてしまう人が少なくない割合含まれているだろうことを考えると、誰に向けて支援をお願いしようとしているのか、いまいち不明瞭な点が気にかかります。一般人を狙うのであればどんなサンプリング音が用意されているのか、機械いじりが好きな人を狙うのであればサンプリング音が変更できるかどうかくらいは言及して欲しいものです。

しかしながら、国内におけるクラウドファンディングは始まったばかり。支援募集中のプロジェクトに関する情報が広く行き渡るだけの態勢も整っていないのが現状です。一方で、Cerevo DASH でも目標金額の200%超えを達成した iPhone ケースのプロジェクトも出ており、その魅力が然るべき人々に十分に伝われば、チャンスはあるでしょう。仮に目標金額に届かない結果になったとしても、支援者や、支援を考えていたけど思いとどまった人達からのフィードバックを伝えることで、研究者・開発者と支援者とのつながりを強化しよりよい製品の開発へとつながることを期待しています。


追記: 新しいビデオが届きました。二人で手をつないでも反応するというこれまたリア充デモビデオになっています。