重工メーカー編

業界トレンドNEWS Vol.153

重工メーカー編

企業や政府と連携することで、海外受注を獲得し、業績は回復傾向。海外プロジェクトの例も紹介!


■海外受注が増え業績は回復傾向。企業同士や政府との連携で提案力を高める動きが盛ん

重工メーカーとは、超大型の機器・プラントなどを製造・構築する企業。船舶、鉄道車両、旅客機や、発電所などエネルギー関連設備、防衛産業、宇宙産業などが主な事業領域だ。主だった企業としては、三菱重工業、IHI、川崎重工業、住友重機械工業などが挙げられる。また、火力・原子力発電を手がける日立製作所や東芝、船舶用エンジンや橋梁(きょうりょう)で豊富な実績を持つ三井造船や日立造船といった企業が、重工メーカーとして分類されるケースもある。

リーマン・ショックが起こった2008年以降、各社の業績は一時停滞した。ところが、この1、2年は回復傾向を示している。原動力となっているのは、順調に拡大している新興国でのインフラ整備に関する需要。また、北米や欧州で大型案件を受注するケースも目立つ。日立製作所が英国の高速鉄道を受注(下記ニュース参照)したのは大きな話題を呼んだし、三菱重工業などが開発・製造している新型小型旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」も、米国のスカイウエストなど複数の海外航空会社から発注を受けている。国内市場は成熟が進んで急激な拡大が見込めないため、海外での取り組みの強化は、各社にとって最大の焦点。例えば三菱重工業は、11年度に43パーセントだった海外受注比率を、14年度には64パーセントまで引き上げる目標を掲げている。川崎重工業も、09年度に50パーセントだった海外売上比率を、20年度までに65パーセントまで高めるビジョンを公表した。

ただし、海外市場における競争は激化している。原子力発電などの領域では韓国、鉄道ではフランスなど強力なライバルがおり、日本メーカーが今後も成果を上げるためには、技術力の強化や積極的な売り込みが欠かせないだろう。また、新興国では単に機材を提供することだけでなく、システム全体を求められるケースが多い。例えば、鉄道の場合は鉄道車両だけでなく、信号通信設備や運行管理システムなど、全体をきちんと運用するための仕組みまで提案することが必要だ。特に、システムの運用能力が低い新興国では、「フルターンキー」(設計・建設・試運転までの全工程を一貫して手がけ、顧客に提供するスタイルのこと。「鍵を回すだけで簡単にシステムを動かせる」という意味合いの言葉)で売り込むことが重要になる。こうした背景があるため、各社は企業間での連携を深め、システム全般の提案力を高めようと努力している(下表参照)。

政府との協力体制も欠かせない。重工メーカーが扱うのは、導入国の社会・経済に大きな影響を与えるような大プロジェクトが多いため、長期にわたり、政府機関なども交えた折衝を行う必要があるからだ。官民が一体となり、いわゆる「オールジャパン」で売り込みを図るケースは、今後さらに増えていくだろう。

一度きりのプロジェクトを販売して終わり、というのではなく、アフターサービスからも収益を得ようとする試みもなされている。例えば三菱重工業では、海外でのメンテナンスパーツ確保のため、拠点作りを進めているところだ。