11月25日に開催される「第32回 ジャパンカップ」。過去10年にわたって、数々の大万馬券をぶっ放してきた名物コラムの安福良直氏と加島翼氏が、豪華メンバーがそろった今年のJCを大予想する。最近も馬券は絶好調という彼らが本命に推す馬とは?

■絶対王者を軽視する根拠とは?

―まずは、今年のJCのツボを。

安福 ズバリ、オルフェーヴルの取捨が一番のポイントです。

―えっ、あの凱旋門賞を見なかったんですか! まさか、オルフェーヴルを捨てるという選択肢があるなんて……。

加島 われわれを見くびってもらっては困る! そんな弱腰では大きなチャンスをものにすることはできないぞ!

―むぅ。それでは本命馬からお願いします。

安福 私の本命は3歳牝馬(ひんば)3冠馬のジェンティルドンナです。

―な、なんと!

安福 今、府中(東京競馬場)だったら一番強いんじゃないかな。オークスは2着に5馬身差の圧勝だったし。勝ちタイムもレースレコードの2分23秒6で、翌週のダービーで僅差の2着だったフェノーメノの2分23秒8と比べても、どれだけ優秀かわかります。

―確かに、そうですが……。

安福 しかも、秋華賞からJCというローテーションもいい。96年のファビラスラフイン(2着)、09年のレッドディザイア(3着)など、かなり好走しています。

加島 実は、ボクはこの馬を対抗にしてるんだけど、かなり面白いと思いますよ。斤量もわずか53kgで出走できるわけでしょ。もう裸同然ですよ。府中は得意中の得意だし、弱点が見つからない。

安福 ウオッカやブエナビスタのように、今は一線級の牝馬なら牡馬(ぼば)と互角に戦えますからね。

加島 むしろ、一瞬の切れを生かせる府中は牝馬にアドバンテージがあるといえるかも。

―ジェンティルがやれそうだってことはわかりました。でも、不安点はないんですか?

安福 ずっと同世代の牝馬としか走っていないことを指摘する人もいるけど、彼女には問題ないでしょう。ココは自信の◎です。

―片や、加島さんの本命は?

加島 私はフェノーメノ!

―これまたオルフェーヴルじゃない。

加島 前走の秋天(秋の天皇賞)は2着に負けたけど、一番強い競馬をした馬。

安福 外々を回るロスがありながら、勝ち馬から半馬身差でした。

加島 何より府中は5戦3勝、2着2回と連対率100%で、馬券の軸にするには最も適してる。3着以内に入る可能性は、オルフェーヴルよりも高いと思うよ。

安福 おっしゃるとおり! 私はこの馬を対抗にしていますが、東京競馬場でのフェノーメノは、レスリング世界選手権の吉田沙保里選手と同じくらい安心して見ていられます。3歳牡馬は55kgという斤量も魅力的です。

―フェノーメノに弱点は?

安福 今回に関してはナイです。もともとJCはフェノーメノのような堅実な馬が好走するレース。勝つときはスゴいけど、負けるときはヒドいみたいな馬はほとんど用ナシです。そういう意味でも今回はバッチリだなって。

―では、おふたりの特注馬は?

加島 トーセンジョーダンです。

安福 同じく!

加島 われわれの予想がここまでカブることは珍しいのだが、これも吉兆としか思えない(笑)。この馬が狙える理由は、ひと叩きされて変わり身が期待できることと、府中の2400mに強いジャングルポケット産駒(さんく)ということ。

安福 しかも不思議なことに、走っても走っても全然人気にならない(笑)。これは馬券的に最高です。

―でも、ちょっと前走の13着は負けすぎじゃありませんか?

加島 いや、それで人気が落ちるなら逆においしいと考えるのが、真の馬券師でしょ。

―ところで、オルフェーヴルの名前が全然出てこないんですが。

加島 ボクは今回、無印に!

安福 私は一応、△はつけておきますが、本線ではありません。

―マ、マジですか?

加島 マジもマジ、大マジですよ。無印にした一番の理由は、状態面に不安があること。凱旋門賞という大舞台であれだけの競馬をしたら、間違いなく反動が出ますよ。

安福 しかも今年の凱旋門賞はいつになく道悪でしたから、単純にかなりのダメージがあるはず。

加島 すごい競馬をしたからね。ぶっちゃけ、潜在能力的にはあのディープインパクトよりも上かもしれないと思ってる。ただ、今回はいらないでしょう。

安福 それから、今回は騎手に大きなプレッシャーがかかってますよね。先に抜け出すとソラを使っちゃう(注・集中力を欠く)んじゃないかとか、また逸走してしまうんじゃないかとか。

加島 気性の難しさを考えると、また騎手が振り落とされる可能性まである(笑)。

―なんか、週プレまでだんだんその気になってきました(笑)。

加島 それが正解!

―ところで、外国馬も軽視してるようですが……。

安福 みんないいお客さんです。今年はメンバーも小粒だし。

―でも、凱旋門賞馬のソレミアまで無印でいいんですか?

加島 トニービンしかり、モンジュー、デインドリームしかり、JCに参戦してくる凱旋門賞馬はお客さんっていうのは定説だよ。

安福 凱旋門賞を勝つということは、それだけ力を出し切ってしまうってことなんですね。

―では、ほかに気になる馬は?

加島 ダークシャドウ。府中に適性があって、今年も大崩れなく走っています。しかも、G?に無類の強さを発揮する堀厩舎。人気もないだろうし、ココは買い!

安福 ルーラーシップには一応印をつけましたが、人気になるようなら切ります。その分、本命のジェンティルに突っ込みたい!

加島 今年のJCは、オルフェーヴルを筆頭とする日本の古馬組、ソレミアを筆頭とする海外組、そして日本の3歳馬組と分けられます。この第三極である3歳馬組をズバッと狙いたい!

安福 ジェンティルドンナとフェノーメノ、どちらの馬も本当に面白いと思いますよ。

―果たして、第三極の馬は、絶対王者オルフェーヴルを負かせるのか? 決戦は11月25日だっ!

(取材・文/浜野きよぞう)

●安福良直(あんぷく・よしなお)

1967年生まれ。京都大学理学部卒。『パズル通信ニコリ』編集長にして、競馬ライターとしても活躍。緻密なデータを駆使した穴予想に定評がある

●加島 翼(かしま・つばさ)

1968年生まれ。早稲田大学教育学部卒。競馬ライター。別冊宝島の競馬シリーズに執筆多数。展開を読み、人気薄の特注馬をあぶり出すのが得意

■週刊プレイボーイ49号「JCは第三極馬券で勝負せよ!!」より