大統領選挙後から年末は金価格が浮上し、高値更新へとつながる!
金市場が待ち望んでいたQE3の実施が決まった。9月13日のFOMC終了後の声明文で発表されたが、これを受けて金価格は2月以来の高値となる1700ドル台後半まで値を戻すことになった。QE3がもたらす影響とは?


2012年9月にFOMC(連邦公開市場委員会)で決まったQE3(量的緩和策第3弾)の骨子は毎月400億ドル(約3兆円)のMBS(住宅ローン担保証券)を買い付けるというものだが、今まで実施されたQE1(第1弾)、QE2(第2弾)とは一線を画するものとなった。

目標(雇用の改善)とする政策効果が得られるまで期間を無制限に、それでも効果が得られなければ買い付け対象を一般社債などにも広げることさえ厭いとわないというものだったからだ。しかも、会合後の記者会見でFRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、効果が見えてもしばらくは手を緩めないとした。表現を換えるなら、景気(雇用)を回復させるためには、一定のインフレにも目をつぶるという不退転の姿勢を示したといえる。金市場にとっては、大きなサポートになるのは間違いないだろう。

学者でもあるのバーナンキ議長は、自らの方針(理論)に自信を持っており、それをグイグイ進める姿勢を鮮明にしたと理解している。

今回の決定については、12人のFOMC委員のうち11人が賛成だったという。中央銀行としてこれだけの拡大策には反対意見も多いと思われるが、意見集約について同議長のリーダーシップ(あるいは政治力)は、ある面で評価されるのだろう。民間企業での実務経験のな
い純粋な学者出身という点で、ニクソン・ショック(金本位制の廃止)時のFRB議長だったアーサー・バーンズ氏に次いで2人目だが、共和党の有力上院議員が英国フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、「もっと謙虚な認識を持つ人をFRB議長にすることが望ましい」としていた。

同議長が批判に?聞く耳を持たない〞ということを指してるようだ。確かに、われが信ずるところを突き進むようだが、「失敗は、やりすぎた結果もたらされる」ということだろう。つまり、中期的視野でのインフレの可能性を考える向きが増えそうだ。実はアーサー・バーンズ議長の失敗もインフレを招いたことだった。歴史は繰り返されるのか。こうした見通しが、今後の金価格を支える要素となる。

さて、以前にQE3は金価格の高値更新の必要条件ではあるが、それだけでは不足で米国の財政赤字問題など追加の材料が必要と述べた。大統領選挙後から年末のタイミングでそれらの材料が浮上し、高値更新につながるとみている。



亀井幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆講演など幅広く活躍中。




この記事は「WEBネットマネー2012年12月号」に掲載されたものです。