[其ノ四 投信ファンダ編]アクティブ型投信は悪者?
分散投資やコストが低いというメリットがあるインデックス投信に比べて、コストが高く、収益機会に偏りがあるといわれるアクティブ型投信。本当にそう?


相場のうねりを利用するアクティブ型投信は市場低迷時の成績をチェック

投信の運用手法には大きく分けて「アクティブ型」と「パッシブ型」の2種類があります。

ベンチマーク(指標)として掲げたインデックス(指数)との連動を目指すパッシブ型に対し、アクティブ型はベンチマークを上回る運用成果を追求するのが特徴のひとつです。

これは一般的なアクティブ型の概要ですが、実はアクティブ型に明確な運用の定義は存在しません。投信の世界では、「非インデックス連動型」のことを「アクティブ型」と総称することが多くなっているのです。

分散投資の重要性を説いた現代ポートフォリオ理論によれば、保有銘柄が十分に分散化されたインデックス型こそが最も効率のよい運用方法であるとされています。

さらにインデックス型は、銘柄選定に伴うコストもほとんどかかりません。理論的にもコスト面でもインデックス型の効率性が実証されているにもかかわらず、アクティブ型という運用手法が存在するのはなぜでしょうか?

それは、現実の市場が理論通りにはいかないからです。

2008年のリーマン・ショック、そして最近の欧州経済危機と、ここ数年、日本を含めて世界の市場は大きな浮き沈みに翻弄されてきました。

アクティブ型は、こうして起こる相場の浮き沈みを利用して収益を得るところに最大の特徴があります。



日本株を例に取って見てみましょう。欧州の債務問題が深刻化した2011年以降、(TOPIX)東証株価指数などの市場インデックスが下落した中でも、内需関連企業を中心に好調を維持した銘柄は存在しました。

アクティブ型の投信は、相応の時間とコストをかけて有望な銘柄を発掘し、定期的に入れ替えを行なうことで収益の獲得を目指します。

リッパー、モーニングスターなどの投信評価機関で高スコアを維持する「JFザ・ジャパン」(JPモルガン・アセット)はその一例で、すでに10年近い期間にわたってベンチマークのTOPIX(配当込み)を上回り続けています。

他方、インデックス型は銘柄選定を必要としない分、インデックスと運命を共にする必要があります。株価指数に組み入れられた銘柄が何らかの理由で急落したり、信用不安が膨らんだ国の債券価格が下落したりした場合でも、インデックス型では特定の銘柄を排除できません。

とはいえ、前述の通り、アクティブ型投信のコストはインデックス型投信のそれよりも高いのが一般的です。販売手数料で3%前後、信託報酬も年率で1.5%前後取られることを考えると、ベンチマークを上回るどころか、市場環境が振るわない中でも着実にプラスのリターンを獲得しないと割に合いません。

アクティブ型投信の購入を検討する際には、長期(せめて5年)にわたってベンチマークを上回っているかという点に加え、相場低迷時と照らし合わせて、成績が右肩下がりを続けていないか着目してみるとよいでしょう。



【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
トムソン・ロイター・マーケッツ

慶応義塾大学法学部卒業。リッパー・ジャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さは天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2012年12月号」に掲載されたものです。