[其ノ三 注目商品 地震の保険対決編]補償範囲が広い「建更むてき」に軍配
建更むてき VS. 火災保険+地震保険

東日本大震災以来、一段と地震感度が高まった日本人。地震保険の加入者は増えたが、地震列島に暮らす私たちの備えは十分といえるのか…。今回は地震に備える2大商品の対決。


余計なことを考えずに地震に備えられる

大震災以降、日本人の地震に対する感度は一段と高まったようです。火災保険に地震保険が付帯されている割合を見ると、全国では2010年度48.1%が11年度53.7%へ、被災3県といわれる岩手が44.6%から56.7%へ、宮城が68.7%から81.1%へ、福島が40.1%から58.1%へと高まっています。

ところが、いまだに火災保険に加入しているだけで地震の被害にも保険金が支払われると誤解している人も多く、また地震保険の保険料は高いからと加入をためらっている人も珍しくないのが現実。ちなみに火災保険にも地震火災費用保険金があり、地震を原因とした火災により、建物で半焼以上、家財で全焼となったときには、保険金額の5%が支払われます。

地震に対する備えが関心を集める中、地震の保険として契約件数も保険金額も損害保険会社を圧倒するJA共済の「建物更生共済(略称・建たてこう更)むてき」があらためて注目されています。そこで今回は建更むてきと火災保険+地震保険の対決です。

なぜ建更むてきが人気なのかについて、FPの金子千春さんは「損保会社では、地震保険は火災保険に付帯させる形で加入するわけですが、建更むてきは地震に対する補償が最初から組み込まれていて、余計なことを考えずに地震にも備えられるからでは」と分析します。

建更むてきには、火災はもとより、地震や津波、台風、豪雨、大雪などの自然災害に対する補償があり、火災や自然災害で逃げるときなどのケガや死亡・後遺障害にも傷害共済金が支払われます。

また、自然災害や火災で発生した残存物を取り除く費用や消火にかかった費用のほか、当面の生活費なども支払われます。補償範囲が広い、いわばパッケージ型の保険です。

地震保険は、契約できる上限が火災保険金額の50%までです(ただし、建物5000万円、家財1000万円が限度)。また、保険金は建物または家財の損害の程度を確認、全損・半損・一部損(判定は建物と家財で異なる)に分けて、実際の修理費でなく、契約金額の一定割合が定額で支払われます。一方、建更むてきは、火災保険金額の50%であることは地震保険と同じですが、損害割合が5%以上で、保険金額×損害割合の保険金(損害額の50%が上限)が支払われます。

満期金があり保険料は割高といわれるが…

通常の火災保険+地震保険は掛け捨てが一般的です。建更むてきは満期を迎えれば満期共済金がもらえますが(火災や自然災害などで80%以上の損害が生じた場合はなし)、その分、保険料は割高です。下にある例でいえば、「差額36万200円は月に換算すれば1000円程度。死亡・後遺障害の保障600万円、傷害治療30万円が付いていることなどを考えれば、一概に割高とはいえないでしょう。満期共済金は定期的に分割して受け取る『ボーナスプラン』を選べば、契約期間中に家の修繕などにも利用できます」(金子さん)

通常の地震保険の契約期間は1年、長くても5年更新ですが、建更むてきは5年または10年で、10年を選べば最長30年まで継続できます。

「長期契約なら、途中で保険料が変わるリスクを軽減できます。ただし、中途解約した場合の解約返戻金はかなり低くなっています」(金子さん)

建更むてきは、高層マンションの上階なので必要ないと水災の補償を外したり、契約途中で地震に対する補償だけをやめたりすることはできません。今回は、こうしたパッケージ型商品の選択肢の狭さより、補償範囲の広さをとって、建更むてきに軍配!





【今月の対決立会人】
金子千春(CHIHARU KANEKO)
ファイナンシャル・プランナー

日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経て、2003年に独立。保険の見直しや住宅ローン、資産運用の相談、セミナー講師として活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2012年12月号」に掲載されたものです。