ビジネスに対する意識が日本とは違うベネズエラ

海外駐在員ライフ Vol.173

From Venezuela

PCメールはチェックしないのが一般的なベネズエラのビジネスの特徴とは?


■PCメールは基本的に見ない

はじめまして。チャンチートです。南米ベネズエラの首都カラカスにある日系オフィスに勤務しています。部下は、日系ベネズエラ人のスタッフと、ベネズエラ人のスタッフ。取引先や顧客は、日系企業やベネズエラの企業、政府機関などです。

部下に指示をする際、日系スタッフには日本語で、現地スタッフにはスペイン語で話します。ただし、書面で指示をするような場合は、いずれに対してもスペイン語を使います。日系スタッフは、スペイン語で教育を受けているため、日本語を話したり、口頭の指示を理解したりはできるのですが、読み書きはできないからです。

ここベネズエラのビジネスで特徴的なのは、「PCメールをあまり見ない」こと。したがって、仕事のメールを送ったら電話で、「メールを送ったので確認してください」と念押しをしておく必要があります。それでも見てもらえないことの方が多く、一度、メールを送ってから電話したところ、「もう一度送ってくれ」と言われて再送信。再び電話すると「見ていない。また送ってくれ」と言われ、もう一度送ったけれど、それでもまだ見てもらえなかったことがあったほどです。

はっきりした理由はよくわかりませんが、どうやら単にPCメールをまめに確認する習慣がないということのようです。その証拠に、携帯電話のメールは頻繁にチェックしているし、twitterなども日本以上に利用されているように思います。

これは私見ですが、そもそもベネズエラでは多くの人が、私的関係の中でビジネスをしているような印象があります。政情が不安定で治安が悪いため、そう簡単には人を信用しないようにしているみたいなのです。そうして、知り合いとだけビジネスをしているために、本来プライベートなはずの携帯電話のメールでも十分、用が足りるという事情があるのかもしれません。


■輸入代金の支払いが完了するまでに1年かかることも

ベネズエラは社会主義国。国による統制が厳しいため、許認可を求める際も大変煩雑(はんざつ)な書類の作業が必要で、非常に時間がかかります。例えば、ある製品を輸入しようとする際、輸入業者が取引先に支払うための外貨を用意しなければならないのですが、外貨を管理している政府に対して「この製品がベネズエラに必要である理由」「輸入量の妥当性」といったさまざまな事柄を説明して申請しなければならず、それでもようやく許可されるのは、本来輸入したかった量の半分程度だけということも度々。「あなたの輸入しようとしている商品はすでにベネズエラ国内にあるでしょう」という理由で、輸入用外貨の割当許可がおりないこともあります。さらに、製品が港に着くと、輸入業者は政府へ再度送金許可を申請しなければならず、貨物到着後、実際に決済が完了するまでに半年、ひどいときは1年かかることもあります。

国による統制が厳しいのは、これだけではありません。労働者が非常に保護されているベネズエラでは、従業員を解雇するのにも、政府当局の承諾を得る必要が。病院や学校のある市内から100キロメートル以上離れた場所にある雇用人数1000人以上の企業には、独自に病院や学校を造る義務が生じます。法制度が頻繁に変わり、その都度、対応しなければならないのもこの国ならではの苦労。法律が細則を詰めずに大枠の骨子のみで決められてしまい、解釈次第でいかようにもとれるため、弁護士と相談して、常に「一番無難な方法」を選択するようにしています。

そんなベネズエラで、仕事を円滑に進めるために私が心がけているのが、日本の本部からの指示を、極力スタッフと共有するように努め、できるだけスタッフに仕事を任せるようにすること。ここでは、現地の言語やビジネス習慣を理解しているスタッフたちの方がスムーズにやりとりを進められるはずなのだから、私はそのために、業務全体を管理し、本部との連絡や事業の最終確認といった裏方の「管理者」に徹するべき。スタッフたちが仕事をしやすいよう、本部との交渉や折衝、予算の確保などの調整に奔走しています。

次回は、ベネズエラの人々についてお話しします。