全比較!年収「1500万vs400万」の日常習慣【2】

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相手の時間の使い方、意味のあるムダ、高年収者に共通する3つの特徴――。アンケートで明らかになった「残念な人」を脱するヒントとは?

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調査概要/2010年12月9〜11日、マクロミルを通じて、ビジネスマン(派遣、契約スタッフを除く)を対象にインターネットアンケートを実施。有効回答数は618人。うち、年収400万以上500万未満が309人、年収1500万以上が309人。

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■「やりたくないことリスト」をつくる

仕事をするうえで、目標を設定することが重要なのは言うまでもないが、面白いのは、立てた目標の大小により、その後の時間の使い方まで変わってしまうということである。ソフトバンクの孫正義社長のように、会社を設立して間もないうちから、年間1兆円単位の売り上げを目標に掲げるのと、自分ひとりが食べていければいいというような目標を立てるのでは、時間の使い方が全く異なってくる。目標の大小については人それぞれであり、ここで是非を議論することはできないが、1500万円以上の年収は、大きな目標がなければ絶対に達成できない金額であることは確かである。

「人生の目的や目標を常に意識している」人は1500万円以上だと「あてはまる」で23.6%を占め、400万円台よりも17ポイント以上も上回っている。さらに「人生の目的や目標を意識するだけではなく、実際に紙に書いている」人になると5倍以上の差が見られた。ToDoリスト同様、瑣末なことに見えても、実際に文字にするということの効果の大きさが窺われる。

目標を紙に書くことと同じくらい重要なのは、目標の達成度や進んでいる方向が正しいかどうかを見直す習慣を持つことである。「人生の目的や目標を紙に書くだけでなく、常に持ち歩いたり、見えるところに貼ったりしている」「目標が実現したか、期限を決めてチェックや棚卸しをする仕組みがある」に「あてはまる」人は1500万円以上だと、それぞれ4.4倍、13.3倍となっている。これを見ても、目標をチェックする仕組みができているか否かが、大きな差となっていることがわかる。

そればかりでなく、「ただ目標を決めるだけでなく、3年以内に実現など、期限を決めている」に「あてはまる」人が1500万円以上で13.6%と400万円台より10ポイント以上も高くなっているように、実際の行動に落とし込むために期限を決めることも重要だ。

長期の目標設定が難しいという人は、まずは自分のやりたいこと、やりたくないことを書き出すことから始める方法もある。「やりたいことリストをつくっている」と回答した人が1500万円以上で60.2%、400万円台で46.3%を占める一方で、「やりたくない、嫌いなことリストをつくっている」人は、それぞれ20.1%、8.4%と大きな差があった。やりたいことが明確でない場合は、やりたくないことの基準を自分の中で整理しておくと、様々な選択の局面で有効な判断基準になる。

「自分が仕事を受けた際、納期を必ず伝えるよう意識している」「その際、具体的な日にちだけでなく『○日の○時』と時間も伝える」人が1500万円以上では、「あてはまる」がともに400万円台の1.7倍以上となっている。このような傾向は、自己を律するというだけでなく、相手の仕事の効率も尊重する姿勢を持っている。

「仕事を頼まれたとき、その時点で、渡された資料などには、ちらっとでも目を通す」に「あてはまる」と答えた人が1500万円以上の人で20%を超えており、かつ400万円台の人より8ポイント以上多くなっている。これは、一見何でもないように思える行為だが、2つの点で注視すべきポイントである。

ひとつは「アウトプットのイメージを共有する」ことが仕事を受ける際には最も重要だという点である。軽く受けたはいいが、納期直前に作業を始めたら、実は相手が何を求めていたか正確に理解していなかったとなると、もう手遅れだ。受けてすぐであれば、確認の猶予がある。

もうひとつは、潜在意識の活用である。たとえば2週間先の納期で、1日で終わるとわかっている仕事があるとしよう。チラッと見て概要を頭に入れておけば、別の仕事をしている間にも脳が潜在的に働いてくれるため、実際に着手したときにはすでに構想は完成していることも多い。仕事ができる人は、そのことを経験的に知っているのであろう。

■「少々……」を安易に使っていないか

目標が大きければ大きいほど、巻き込むべき人の数は幾何級数的に増えていく。従業員1000人の会社のトップがマネジメントする時間は、自分が持っている24時間ではなく、2万4000時間である。マネジメントといっても、あれこれせよと、作業管理をするのではない。巻き込んだ人に対するリスペクトを前提に、彼・彼女がその時々の仕事で成果を出すと同時に、中長期的な成長をとげられるかという視点を持つことが求められる。大企業のトップでなくとも、マネジメントする立場に置かれている人なら、考え方は同じである。

「仕事においては常に、他の人へのお願いを先に、個人の仕事は後にするよう意識している」に「あてはまる」人は1500万円以上だと12.9%、400万円台だと6.1%と倍以上の開きがある。早く仕事を頼めば、その分相手は作業時間を多くとれる。これは相手の時間に対する敬意の差のあらわれだろう。

また、「人に仕事を頼むとき、細かい内容が決まっていなくても、まずは概要を伝え、相手のスケジュールを押さえるようにしている」に「あてはまる」人は、1500万円以上で14.6%と400万円台の4.5倍以上になっている。高年収の人が仕事を頼む相手も高年収というケースは多い。先述の潜在意識の活用や相手への敬意のほか、相手も忙しいため概要だけでも早く伝えないと、そもそも時間を確保してもらえないという物理的な要因も大きいと思われる。

納期も重要だ。「仕事を頼む際は、社内の相手であっても、納期を必ず伝える」人が1500万円以上だと34.3%、400万円台でも22.3%の人が「あてはまる」と回答したが、「納期を伝える際は、日にちだけでなく、時間も指定する」人になると、それぞれ15.5%、9.4%と半分以下になっている。私自身の経験でも時々、「金曜までに」と言われて、金曜の朝なのか、夜なのか確認しなければならないことがある。依頼するときには、時間に至るまで具体的に数字で示すほうがよい。

「『少々お待ちください』という言葉を特に意識せずに使う」「『少々』といった曖昧な表現はなるべく使わず、『1分だけお待ちいただけますか』のような定量的な表現を心がけている」に「あてはまる」人が1500万円以上だと、約10%を占め、400万円台の5倍以上となっている。1500万円以上の人のほうが、日頃から定量的な表現を意識していることが窺える。

「人に仕事を頼むときは、ただ任せるのでなく、チェックリストをつくるなど、準備や仕組みづくりに時間をかけるようにしている」に「あてはまる」人が1500万円以上で約10%と、400万円台の6倍となっている。これは、何度も同じことに時間を使うのではなく、一度考えてうまくいったシステムをほかのことに応用する意義を十分に理解し、実践しているかどうかの差であろう。

時間を効率的に使うことに重点を置きすぎると、往々にして、肝心の成果の点で物事を見失うことがあるので注意が必要だ。メールでのコミュニケーションは一見便利だが、使いようによっては結果として不必要な時間を使わされる羽目になることがある。

「いい話や報告はメールでするようにしている」「悪い話や相談は対面か電話でするようにしている」では1500万円以上で、それぞれ13.6%、29.1%が「あてはまる」と回答しており、400万円台の2倍になっている。これは相手が、自分のメッセージを受け取ったときの感情と、その後に相手に期待する行動が具体的にイメージできているかどうかの差といっていい。

いい話や報告は、その情報を受けた後に急を要するアクションが不要なことが多い。しかし、悪い話や相談といったものは、何かしらのアクションが必要である場合が多く、話の背景や文脈を説明するにはやはり対面でないとニュアンスも含めて伝えにくいものである。メールと電話の使い分けひとつとっても、コミュニケーション能力の高さが窺える。

時間と同様、その使い方が気になるのはお金である。私の周りを見ても、高い年収を得ている人のお金の使い方のポリシーは、モノやサービスの絶対的な価格よりも、そこから生まれる「機会」を重視している印象を受けることが多い。そのような人は社会や経済の動向、マーケットの流行などからも、積極的に機会を見つけようとする傾向がある。

「気になる本や雑誌は、迷わず買うようにしている」と回答した人が、1500万円以上では約5割を占めるのに対して、400万円台では32.7%と18%以上上回っていることからも、この特徴が浮き彫りになる。「モノを買うときは、自分だけがわかるこだわりの逸品でなく、みんなが欲しがる商品を買うようにしている」と回答した人が1500万円以上で13.9%、400万円台で10%という差からも、モノを買う目的のひとつがマーケットが何を欲しがっているのかを知るためであることが窺える。

また、「最新のPC、電子書籍端末、スマートフォンといった電子機器は、話題のうちに買って、まずは使ってみる」「新しいモノを利用することは勉強になるので、多少ムリをしてでも買う」人が1500万円以上だとともに2倍以上になっている。これらを実践している人は、本や雑誌を読んで知っていることと、実際に体験するのでは情報量に雲泥の差があることをわかっており、人の評判ではなく、自分の目を信じることに重きを置いているといえる。

「疲れたときは、マッサージに行くなど、お金を使って、早めにメンテナンスをする」が「あてはまる」のも、1500万円以上が400万円台の2倍以上になっている。体調は仕事のパフォーマンスに直結するので、マッサージのようにお金がかかることであっても、効果が得られるのであれば積極的に活用する。お金は節約するものではなく、より多く稼ぐために使うということだろう。

物事が間違ったほうにいったとき、その原因を自分に見つけるのか、他人の中に見つけるのかといったことは、その人の思考のクセといっていいだろう。このクセは仕事に限らず、生活全般においても重要な位置を占めているように思う。

「何事も『人のせい』ではなく、『自分のせい』と考え、行動するようにしている」に「あてはまる」と回答した人は、1500万円以上で全体の約19%を占め、400万円台よりも10ポイント以上多い。「『あの人がこうしてくれればよかったのに』と思うことがよくある」という質問に「あてはまらない」と回答した人は1500万円以上だと10ポイント近く多かった。また、「上司や部下に関するグチを言うことが多い」という質問に「あてはまらない」と回答した人は、1500万円以上で400万円台の2.4倍にもなった。

要するに、高年収者は、くよくよしないし、グチを言わないのである。彼らは自分でコントロールできないことに関しては前提条件として受け入れ、それに対する自分の行動を考えることに時間を使っているように思う。他人の中に原因を見つけて嘆くよりも、自分の中に原因を見つけて自分の行動を変えていったほうがよほど建設的であることを知っているのだ。そもそも問題や状況を本気で変えたいと思っているのであれば、すべては自分の問題となるはずである。

■体を鍛える仕組みが習慣になっている

仕事をするうえで健康が大切なのは言うまでもないが、実際に健康を維持するための行動に差はあるのだろうか。「体重をコントロールするためのダイエットやカロリー制限を行っている」人が1500万円以上で40.5%、400万円台で26.2%で、「ダイエットやカロリー制限により、体重をコントロールできている」人はそれぞれ33.7%、23.3%と10ポイント以上の差が出ている。ここでも1500万円以上の人のほうが、自分をコントロールしようとする意思が強いといえそうだ。

「ジムでの運動にこだわらず、自宅での筋力トレーニングなど、週のうち決まった日数、体を鍛えることを習慣化している」「出勤時に1駅歩くなど、日常生活で体を鍛える仕組みが習慣になっている」では、「あてはまる」と答えた人が1500万円以上でそれぞれ2.5倍、2倍弱となっており、生活の中へ習慣として組み込む仕組みづくりのうまさが感じられる。

これらの意識は健康だけでなく、「見た目」へのこだわりの差でもあるように思う。程よく筋肉のついた、体脂肪率の低い肉体はカッコいい。カッコよく見せたいという根源的な欲求、外見に対する貪欲な向上心のようなものが、高年収者のほうが強いともいえるのではないか。

何をどう食べるかは、その人の哲学のあらわれである。以前、給食費を払っているのだから、子供に「いただきます」と言わせるのはおかしいとクレームを付ける親がいると聞いたことがある。「いただきます」は本来「命を頂きます」という意である。コンビニでビニール袋に入ったメロンパンを買って、100円玉一つで手軽に500キロカロリー摂取できる時代であるが、食べ物に対する考え方は年収によって差があるのだろうか。

「居酒屋やファストフードであっても、『陶器の器に入った食事』を週のうち、なるべく多くとるよう、意識している」「立ち食い蕎麦のような店であっても『つくっている人の顔が見える食事』を、なるべく多くとるよう意識している」人が1500万円以上では27.2%と22%と8〜10ポイントも多くなっている。高年収者のほうが少しでも丁寧に調理されたものを求める意識が強いのは、食が健康と体力に直結する部分であり、それが仕事のパフォーマンスに影響することを理解しているからであろう。

■ムダが必要なのは若いうちだけではない

賃金の低い仕事は、決められた仕組みの中で仕事をし、賃金の高い仕事は、仕組みそのものをつくり出す仕事である場合が多い。それに伴い、仕事に対するスタンスも異なってくる。年収の低い人は深く目的を考えずに決められた枠組みの中で仕事をしていても通用するが、年収の高い人は視野をより広く持ち、何のためにその仕事をするのか、目的や意味を常に考える必要がある。同時に、年収の低いうちから目的を意識しながら仕事をすることで仕事のクオリティが上がり、結果的に高収入につながるともいえる。

「自分がいま手がけている仕事の目的、意味を常に考えるよう意識している」に「あてはまる」人が、1500万円以上で29%を超え、400万円台の2倍以上となっていることからも、この違いがわかるのではないだろうか。また、「自分で意識するだけでなく、仕事の目的と意味を伝えるよう意識している」では、「あてはまる」で3倍近い差がついた。仕事の目的と意味を共有できていなければ、相手が仕上げた仕事の方向性が違い、手戻りが生じる可能性も増える。その結果、相手の時間だけでなく、自分の時間まで失うことになるのだ。

「若いうちにムダと思える仕事に時間を使ったり、徹夜をしたりすることにも、重大な意味があると思う」に「あてはまる」人が1500万円以上では28.2%を占め、400万円台より11ポイントも多い。「迷ったら、新しいほうの選択肢を選ぶようにしている」人は1500万円以上だと3人に1人が該当する。

ブレークスルーにはチャレンジが必要だ。効率性がますます求められる職場環境であるが、失敗や「必要なムダ」からしか新しい仕事は生まれない。アンケート回答者の属性上、年収の低い人は比較的若いために、ムダの重要性に関する経験値が低いのかもしれない。だとすれば、なおのこと若い読者の方にとっては有用な意見であるといえよう。ただし、ムダが必要なのは若いうちだけではない。既存の仕組みを変えようと思ったら、試行錯誤が必要であり、その過程でのムダから重要な発見がなされるものである。つまり成果を求めるのであれば、あらゆる年齢でムダは必要なのだ。

[図版はこちら] http://president.jp/articles/-/7820

※すべて雑誌掲載当時

(アジルパートナーズ パートナー 山崎将志=分析・文 飯田安国=撮影)