「何を」「どこから」「誰が」「いつ」「どうやって」「どのくらい」をリスト=表に落とし込む。特に意識したいのは、どのくらいという情報の量だ。6割を決断の目安にするといい。

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■情報と知識の違いを明確にする

みなさんは、「情報」と「知識」をきちんと区別しているでしょうか。

ビジネスに情報が不可欠であることを否定する人はいないでしょう。ところが情報と知識を混同して、何でも集めてストックしようとする人が少なくない。これはかえって効率を落とします。

知識をストックしていけば、「ものしり」になることができるかもしれません。しかし、ものしりだから仕事がうまくいくわけではない。むしろ大量の知識は、情報処理の邪魔をします。やみくもに知識をかき集めることで、個人のパフォーマンスは落ちるのです。

自分で情報収集を行うとき、あるいは人に情報収集の指示を出すときには、7つのポイントを明確にすることが大切です。

「誰のため? 何のため?」(WHY)/「何を」(WHAT)/「どこから」(WHERE)/「誰が」(WHO)/「いつ」(WHEN)/「どうやって」(HOW TO)/「どのくらい」(HOW MANY)

たとえば、あなたがイベントの集客に影響を与える天気情報を必要としていたとします。このとき「天気情報を調べてこい」と曖昧な指示を出すと、相手は不足がないように、できるだけ多くの情報を集めようとします。

曖昧な指示は、相手の負担を増やすだけではありません。膨大な情報を前にして、あなた自身も途方に暮れることになります。

情報収集や情報処理に関するムダな作業を減らすには、まずは欲しい情報を明確にする必要があります。天気情報が欲しければ、次のように指示します。

「○月×日の降水確率を、気象庁から入手してください。イベントの集客分析に必要です。担当は○○さんで、明後日までにお願いします」

このような具体的な指示により、担当者もあなたもムダな作業を減らすことができます。

■6割で判断する習慣をつける

7つのポイントのうちでも意識してほしいのは、情報を「どのくらい」集めるのかという視点です。

降水確率のようなピンポイントの情報は量を指示する必要がありませんが、「過去の天気情報」なら話は別です。1週間前までさかのぼるといいのか、1カ月前までなのか、それとも過去10年分なのか。そこを明確にしないと情報量がどんどんと膨らみ、お互いの負担が増していきます。

では、際限なく情報収集が可能な場合、どこを一区切りにすればいいのでしょうか。私は必要な情報が6割集まったら十分だと考えます。

情報収集のスタート時は、さほど苦労することなく情報を入手できます。しかしある程度の情報が集まると、徐々に壁が高くなり、不足している情報を手に入れるために多大な時間や手間を要するようになります。経済学でいう限界効用逓減の法則です。

情報収集の効率が急激に落ち始めるのは、情報量が6割を超えたあたりです。情報収集にそれ以上のリソースを投じるくらいなら、情報収集する本来の目的のためにリソースを費やしたほうがいいのです。

とくに時間は貴重なリソースです。ビジネスでは情報が6割集まった時点で判断して次のアクションにつなげないと、市場のスピードについていけません。「市場を100%リサーチしてから商品企画を提案します」と時間をかけているあいだに、市場そのものが変化します。情報収集をだらだらと続けるのは、貴重な時間をムダにする行為。6割の時点で何らかの決断をして前に進むほうが生産性は高まります。

(※『ビジネススキル・イノベーション』第5章 組織のムダを改革する(プレジデント社刊)より)

(横田尚哉)