消費税率をアップしたらむしろ税収は減る!
「増税を考える」スペシャルインタビュー?

消費増税そのものが政府の施策として間違っているというのは、政策工房代表取締役会長で嘉悦大学教授の高橋洋一氏。
2006年の安倍政権下で財務を担当し、株高、円安を演出した立役者でもある。日本政府が本当に打つべき政策は何か。その秘策を聞いた。


最初に言っておくが、私は消費増税にはまったく賛成できない。消費税率をアップしたところで、単純な所得移転は起こるが、消費者に回ってくる金はない。景気浮揚に対しても何の効果もないのが現実だ。今すぐやめてしまえ、と言いたいほどだ。

そもそも消費増税は何のためにやるのか。財政再建というお題目はあるが、財政再建を考える前に、どうすれば経済成長するかに知恵をしぼるべきだ。結局は、経済が成長すれば、財政再建はされるからだ。しかし、財務省は経済成長より財政が大切というスタンスなのは明らかだ。

実際、消費税率が上がった分の金かねはどこにいくのか。5%のうち、1%分は社会保障の充実に充て、残りの4%分は基礎年金の財源のほか、国・地方の支出増に充てられるというのだ。

これを平たく言うと、4%分は公共投資に回るということではないか。

消費増税分の金が公共投資にいくことで、何の財政再建ができるというのだ。公共投資が増えれば雇用が増える、日本中に金が回れば、景気がよくなり、所得が上がり、ひいては税収が増えるとでもいうのだろうか。そんな話は、1970年代の話だ。

残念ながら、消費支出が増えたところで、民間企業の設備投資や輸出などが減ってしまっていたら、GDP(国内総生産)全体で見れば、相殺されてしまう。公共投資をいくらやっても、実はGDPは増えていないのがここ10年の現実だろう。それをまだ繰り返そうというのだから、国民をどこまでバカにしているのかと、あきれてしまう。

デフレ経済を改善する最も効果的な方法はお札をガンガン刷ること

私の主張は、一番簡単なのは前の状態に戻して違う政策を打つことだ。100歩譲って増税法案は仕方ないとしても、ただちに違う政策を打つことが重要と考えている。

その方法とは、「デフレ下の経済状況を改善すること」だ。

どうすれば、改善されるのか。最も効果的で、しかも手間のかからない解決策は、マネーの伸び率を増やす、つまりお札を刷ることだ。

名目GDPの伸びには、マネーの伸びが最も相関関係がある。

それはなぜか。中央銀行が世の中に出回る金の量を増やせば、その金はどこかで経済活動につながる。経済活動が活発になれば、所得が増え、それが消費につながる。市場にも金が回り、株価が上がるという流れにも当然なる。

私が以前、安倍政権下で財政を担当にしていたときに、実際、マネー伸び率を上げただけで、株価は1万8200円までいった。これは日本の21世紀最高の株価ですよ。為替も1ドル=110円台だった。お札を刷っただけで、ほかには何もやっていないのに、この実績が出ている。

実際、マネーを増やせば、円安になる。輸出企業が潤う。輸出企業は、世界の競争の中で切磋琢磨しているエクセレントカンパニーが多い。そこには、人的資源もあるわけだ。しかも、そういった輸出企業は裾野が凄く広い。経済に対する恩恵は計り知れないのだ。今は円高で青色吐息の輸出企業が息を吹き返せば、GDPも当然増える。

あとは何もしなくても輸出企業がどんどん稼いでくれて、法人税収もどんどん上がる。実際、2006年もマネーを増やしただけで、21世紀最高の税収を記録している。そして21世紀最高のGDPも記録しているのだ。

米国を見てほしい。先日QE3を実施したばかりだが、どんどんマネーを増やしている。インフレ目標を2%に設定して、達成できるまでいくらでもマネーを増やしていくだろう。米国はその勢いでお札を刷りまくっているのに、日本のマネー伸び率は2000年以降、低いままだ。