ビール・酒造編

業界トレンドNEWS Vol.152

ビール・酒造編

国内アルコール市場は頭打ち。それに対する各社の戦略の違いとは?


■「新ジャンルビール」や「ノンアルコール飲料」など市場のすそ野を広げる商品の開発が重要に

少子高齢化や若者のアルコール飲料離れなどが影響し、国内のアルコール消費量は右肩下がりの傾向が続いていた。国税庁が公表している統計情報によれば、2008年度の酒類の販売(消費)数量は852万キロリットル。これは、ピーク時の1996年度(966万キロリットル)に比べ、約12パーセントのマイナスだった。ところが、2009年度は854万キロリットル、10年度は851万キロリットルと、ほぼ前年並みを維持。市場縮小傾向には、ひとまず歯止めがかかりつつあるようだ。

ここ数年のビール業界では、「新ジャンルビール」のシェアが拡大中だ。これは、「第三のビール」とも呼ばれ、ビールや発泡酒と異なる原料・製法で作られた飲料。アサヒビールの「クリアアサヒ」、キリンビールの「のどごし<生>」、サッポロビールの「ドラフトワン」、サントリーの「金麦」などがよく知られている。ビールなどより酒税率が低く、低価格で販売できるのが特徴だ。10年度のビール販売量は276万キロリットルで対前年度比2.8パーセント減、発泡酒は95万キロリットルで対前年度比15.1パーセント減だったのに対し、「新ジャンルビール」が含まれるリキュールの販売量は対前年度比17.3パーセント増の175万キロリットルにも及んだ。このように、低価格志向の消費者に受け入れられる新商品づくりは、今後も模索されるだろう。

市場のすそ野を広げるような商品の開発も、活発化している。現在、最もホットな話題が、お酒が飲めない人や自動車の運転を控えている人をターゲットにした「ノンアルコール飲料」。すでにノンアルコールビール風飲料(ノンアルコールビール)は大きな市場を獲得しているし、ノンアルコールカクテル、ノンアルコール日本酒、ノンアルコールマッコリなども売り出されている。また、健康を気にする層に対し生み出された「糖質ゼロ(オフ)」「カロリーオフ」「プリン体オフ」ビールも、一つの分野として定着を果たした。加えて、マーケティング面での新工夫も必要だ。数年前に起こった「ハイボールブーム」のように、アルコールの新しい飲み方を提唱して商品の拡販を目指す取り組みが求められている。

国内外の業界再編にも注目しよう。まずは、最大手企業でもシェアが1割に届かないほど細分化された日本酒業界だ。このところ、日本食のヘルシーさが海外で人気を呼んでいるため、それと連動する形で日本酒の輸出量も増えることが期待されている。そこで、海外市場に積極的に打って出るために、合併・提携によって経営力強化を目指すケースが増えそうだ。日本酒メーカー同士はもちろん、ほかのアルコール飲料企業や商社・問屋などを巻き込んだ動きに、ぜひ注目しておきたい。また、ビール業界では海外との提携が活発化している。下の表でも示したように、アジア、アフリカ、中南米といった地域では、ビールの生産量・消費量が堅調に拡大。そこで大手ビール会社は、海外企業のM&Aなどによって、各地域への足がかりを確保しようと動いているところだ。

企業の経営方針の違いもチェックしておきたい。国内アルコール市場が頭打ちになっているため、食品や医薬品などの分野に進出して多角化を目指す企業は少なくない。一方、他事業を切り離して得意な本業に集中しようとする企業もあるため、志望者はきちんと情報収集をしておこう。