東京時代から不動のセンターバックとして最終ラインに君臨する冨山卓也はハードな試合での敗戦に疲労困憊のていでありながらも、廃部については落ち着いた表情で「上の判断なので。でもここまでやらせてもらった。しょうがない」と、まずは感謝の念を先に立てつつ「ひとつでも上の順位をめざして。きょうの反省を踏まえて、いいときのサッカーができれば、いい結果がついてくると思います」と前向きな姿勢を捨てなかった。

残された公式戦はリーグ戦二試合。佐川東京、佐川大阪以来の歴史を、魅力的なサッカーによる勝利という「質」の証明で閉じることができるか。

廃部への戸惑いは依然としてある。シーズン終了まではうまく話せない、という選手もいる。それでも前へ進むために、アスリートらしく、よりよい結果と内容の追求はつづく。

■著者プロフィール
後藤勝
東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。
2012年10月から、FC東京の取材に特化した有料マガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」をスタートしている。