電気自動車でグイグイ押す日産さんのお話




ハイブリッド車など、エコ自動車の勢いが止まりません。エコ自動車の究極と言えば、ガソリンをまったく使わず、走行中CO2を出さない電気自動車でしょう。電気自動車で他社をリードしているのは、マスプロモデルの電気自動車『リーフ』を出している日産です。日産自動車株式会社、マーケティング本部、マーケティングダイレクターオフィス、マーケティング・ダイレクターの須山義弘さんにお話を伺いました。



■電気自動車『リーフ』のユーザーとは



――他社に先駆けて電気自動車『リーフ』を発売されましたが、販売面は好調なのでしょうか?



須山ダイレクター おかげさまでご好評を頂いております。リーフは2010年12月に発売開始ですので、発売後約1年半で日本国内約18,000台、グローバルで約37,000台を達成しています。



――購入者のプロファイルを教えてください。



須山ダイレクター 平均年齢は高めです。40歳代以上で、50歳代後半の男性がメインのお客様ですね。生活面でゆとりのある世代の人で、環境面に意識の高い方が多いと思います。



――リーフって写真で見ると小型車なのかと思いがちですが、実際に見ると普通の大きさなんですよね(笑)。



須山ダイレクター 普通車の大きさですから(笑)。普通に使えるクルマとして設計されていますので。そこは心配しないください。



■不安に思うのはやはり充電に関して



――リーフを購入した人にアンケートを実施されていると思いますが、買って良かったという回答で多いのはどんなものですか。



須山ダイレクター 静かで乗り心地がいい、加速がいいなどの評価を頂いております。一番多いのは、何といっても維持費が安いという声です。ガソリン代と比べると電気代は圧倒的に安いです。



――逆に「ここはちょっと……」という回答はどんなものがありますか?



須山ダイレクター 大多数は、やはり「航続距離」などの充電に対する不安ですね。



――確かに、以前マイナビ読者にアンケートを実施したところ「電気自動車に興味がある」と答えた人は多かったですが、その一方で「充電に対する不安」を述べた人も同様に多くありました。



須山ダイレクター 私たちが想定しているのは、通勤などにクルマを使用していて、帰宅したら充電、その翌日、また満タンになったクルマで出掛けるという使い方なんですね。その使い方をしている限りは充電不足といったことは起こらないです。



――実際、リーフのランニングコストというのはどのくらいですか?



須山ダイレクター みなさんご存じかと思いますが、夜間電力の契約をしていただければ電気代は夜間の方が安いです。夜間に充電しますと、ガソリン車の1/5程度でまとまりますね。



――自宅で充電するための設備を販売しているのでしょうか?



須山ダイレクター そうですね。一戸建ての住宅にお住まいの場合には、充電設備の設置をお薦めしています。



――いくらぐらいで設置できるのでしょうか?



須山ダイレクター 大体10万円くらいです。



――一戸建てだと駐車場に充電設備が置けるんですが、集合住宅、特に都市部の集合住宅では難しいのではないですか?



須山ダイレクター 確かに、既に建築されているマンションなどでは難しいですが、新築の物件に関しては風向きが変わってきています。例えば、江東区などは条例で、新築マンションの駐車場の10%には充電用の設備を整えることというのが決まっています。



――それは知りませんでした。



須山ダイレクター また、弊社でライオンズマンションの大京さんなど、同様に新築マンションの駐車場の10%には充電設備が設置されるようになっているケースもあります。



――なるほど。既存のマンションの駐車場にもコンセントぐらい付くといいのですが……。私もリーフいいと思うんですが、給電を考えると電気自動車を購入できないんですよね。



須山ダイレクター 誤解しないでいただきたいんですが、決して既存のマンションに充電設備を付けられないということじゃないんですよ。物理的には全然設置できます。



――わかります。管理組合を納得させて、その経費を誰が支払うのか、とかそういうのが難しいんですよね(笑)。



須山ダイレクター その通りです(笑)。弊社も努力はしますが、そこはお客さまに通していただかないと仕方がないんです。



■全国の給電設備の現状は!?



――ファミリーマートさんと一緒に充電設備を整備していくようですが。



須山ダイレクター ファミリーマートさんとご一緒に計画を進めていますが、そのほかにも独自に充電設備給電ポートの充実を図っています。まず弊社の販売店ですね。全国で2,200店舗ありますが、そこは既に充電設備が整っています。その中でも400店舗には30分で80%まで充電可能な「急速充電器」が整備されています。



――急速充電器はではない、普通の充電器はどのようなスペックでしょうか?



須山ダイレクター 満充電にするのに8時間を要します。



――それはちょっとかかりますね。急速充電器は現在どのくらいの数設置されていますか?



須山ダイレクター 日本全国で約1,200カ所です。これからも増やしていく予定です。また、充電可能場所は、リーフのナビで表示されますのでユーザーの方には安心して頂けると思います。7月にはユーザーサポート用にスマホアプリをリリースしました。



――どういうものですか?



須山ダイレクター 現在位置、目的位置を解析して、より高精度でバッテリーの消費予測を行うサービスです。行程の標高差なども加味してデータを出しますのでかなり有力なツールになると思います。



――それでもバッテリーが上がっちゃった時にための準備が欲しいところですが。



須山ダイレクター 環境省のプロジェクトで、JAFさんと弊社で「給電車」を実証実験で既に配備しています。首都高などで、もしバッテリーアウトしたクルマがあったらこの給電車が出動します。



――給電車が出るような事態はあったのでしょうか。



須山ダイレクター そんな事態はほとんどありませんが、このようなクルマがあることは大きな安心になると思いますね。



*……ちなみにこの給電車はJAFの世田谷基地に配備されており、現在のところこの1台のみである。



■リーフから逆に電気を取り出す



――リーフから電気を取り出す仕組みも発表されていますね。



須山ダイレクター はい。『LEAF to Home』(リーフ・トゥ・ホーム)という製品を出しました。これはリーフを使って家庭へ給電することができるというものです。クルマというのは止まっている時の方が多いわけです。今までのクルマは止まっている時は役に立ちませんでした。でも、例えばリーフ・トゥ・ホームを使っていただくと、リーフを電源として家で電化製品を使えます。地震など災害があって、ライフラインが途絶した時には大きな力を発揮します。



――どのくらいの電気容量が使えるのでしょうか。



須山ダイレクター リーフのバッテリーで、一般のご家庭の約2日分の使用電力を賄うことができます。最大出力電力は6kWです。このリーフ・トゥ・ホームから家庭の配電盤経由で電力を供給する仕組みですので、普通の電力供給時と同様にエアコンなどの家電を使っていただけます。



――リーフ・トゥ・ホームを家庭に設置するといくらかかるのでしょうか?



須山ダイレクター 約30万円(税抜き)です。リーフへの急速充電も可能な製品なのでお得ですよ(理論上最短4時間で充電可能なスペックを持つ)。



――リーフ本体ももうちょっと安価にならないものでしょうか? 次世代の製品では安価になりますか?



須山ダイレクター ちょっと次の製品に関しては申し上げることができないので……。



――リーフだけではなく、ほかにも電気自動車がラインナップされるのでしょうか?



須山ダイレクター それについてもちょっと……(笑)。いろいろな可能性があると申し上げておきましょう。



――では日産の戦略的な話で(笑)。会社としてゼロ・エミッションを掲げられてますが、その姿勢は今後も変わらないのでしょうか。



須山ダイレクター 最も大事なコンセプトと言ってもいいと思います。弊社はこのコンセプトを推進していくつもりです。



――ということは電気自動車がどんどん出そうですね(笑)。



須山ダイレクター いや、それは今の段階では明言できません(笑)。



電気自動車を購入した人の満足度は高く、また維持費も安価に済んでいるようです。あなたは電気自動車を欲しいと思いますか?





(高橋モータース@dcp)



日産ゼロ・エミッションサイト

http://www.nissan-zeroemission.com/EN/index.html



*……ゼロ・エミッションとは産業活動から出る廃棄物などもリサイクルし、活用、(廃棄物を出さない)資源循環型の社会を掲げる考え方のこと。