広東省広東市内の工場で、従業員が工場内で動力用に使っている高圧空気で服の汚れを払おうとしたところ、手元を誤って高圧空気が肛門内に入った。同従業員は結腸が破裂する重傷を負ったが、一命を取りとめた。中国新聞社が報じた。

 重傷を負ったのは26歳の男性従業員。工場名は明らかにされていないが「大企業」という。作業員によると、「肛門内に高圧空気が入った時には特別な感じがしなかったが、しばらくして腹部内が猛烈に痛んだ」という。同僚が同従業員を市内の中山大学第六医院(病院)に運んだ。

 コンピューター断層撮影装置(CT)スキャンで調べたところ、腹腔(ふくこう)内に大量の空気が入っており、肝臓や胆のうなどほとんどの内臓が強く圧迫されていた。医師は「きわめて緊迫した状態」と判断し、ただちに手術することを決めた。

 執刀した楊祖立医師らによると、腹腔にメスを入れたとたん「ボン!」という音がして空気が噴出してきた。同じく手術を行った王暁学医師によると結腸が爆裂して内容物が腹腔全体に飛び散っていた。そのため、腹腔内の洗浄を繰り返し、感染症の発生を予防した。

 最終的に「腹腔内の状態が安定した」と判断できてから、結腸を縫合した。午前0時ごろに開始して午前6時までの「大手術」になったという。

 重傷を負った従業員は集中治療室で4日間、「経過観察」の処置となった。その後、飲食もできるようになった。さらに観察を続け、問題ないと判断されれば退院できる。

 医師によると、高圧空気の流入で、結腸は瞬間的に破裂したと考えられる。不幸中の幸いは、他の内臓が傷ついたり、横隔膜に穴が開いていなかったことで、「もう少し状況が悪かったら、命が危なかった」という。

 王医師によると、これまでにも圧搾(あっさく)空気で腸を損傷させた患者を治療したことがある。自動車修理工場の従業員で、タイヤに充填(じゅうてん)する空気を肛門から入れてしまったケースだった。今回は空気圧が高く、さらに危険な状態になっていたという。

 王医師は「労災防止を強化してほしい。機器類は、規則通りに使用してほしい」と述べた。(編集担当:如月隼人)