獣医さんの仕事の話




ペットの飼育頭数が増え、それに合わせて獣医さんの出番も増えています。最近の獣医さんのお仕事について、ひがしやま動物病院、院長の東山哲さんに伺いました。



■猫はあまり病院に来ない!?



――来院する患畜はやはり犬が多いのでしょうか?



東山院長 来院する件数では、犬は猫の4倍ぐらいでしょうか。



――猫はそんなに少ないんですか。



東山院長 猫を飼育されている方はあまり病院に連れて行かない傾向があるんですね。運んでくるのが大変なんです。猫ちゃんは警戒心が強く、引っかいたりかんだりして抵抗するコが多いので(笑)。飼い主さんが病院まで運ぶのを敬遠しがちなんですよ。



――犬も嫌がりませんか?



東山院長 犬なら散歩の途中に寄ったりできますしね。



――でも病院に着くと「だましたな!」っていう目でじっとこっちを見ますよね(笑)。私も経験があります。



東山院長 まあ、それでもさすがに引っかいたりはしませんでしょ(笑)。猫ちゃんは病院でパニックになってしまうコもいますしね。飼い主さんも一苦労です。



――猫はあまり病院に来ないんですね。知りませんでした。



東山院長 そうですね。もっと頻繁に来ていただけるといいんですが。病院に来ることで症例が広く知られるということがありますし。日本では猫ちゃんの通院数が犬と比べて少ないものですから、症例報告や、勉強会などが欧米に比べて少ないんですね。ですから私も海外の猫の学会に足を運んだりしています。



――海外の方が猫の症例研究は進んでいるのでしょうか?



東山院長 欧米はそうですね。すべてではありませんが、治療法、治療薬の開発はやはり日本よりも早いと思います。実は、日本では猫の診察は苦手という獣医さんもいるんですよ。猫の病気に関する最新情報を国内に広めていく必要性を感じています。



■最近の患畜の傾向とは?



――最近の患畜に何か傾向はありますか?



東山院長 そうですね。犬では小型犬のブームが続いてますので、来院する患畜も小型犬が多いんですが。夏は熱中症で具合が悪くなって来院するパターンが多いですかね。気温が35度を超えて、アスファルトの照り返しでさらに体感温度が上がると、暑さでやられちゃうんですね。暑い環境での飼育にあまり向いていない犬種もいますしね。



――コンビニの表でご主人を待っているシベリアン・ハスキーを見たことがあります。



東山院長 シベリアン・ハスキーは夏は暑いでしょう。一時期日本中ではやった犬種ですが。



――『動物のお医者さん』の影響ですね(笑)。あれで北海道大学の獣医学科を目指す若者が増えたそうですが。



東山院長 どこまで漫画の影響かわかりませんが、女性で獣医学科を志す人が増えているのは確かですね。昔は獣医学科というと男ばっかりだったんですけどね。最近は随分女性が増えましたよ。



――患畜の傾向の話に戻りますが。夏は熱中症、冬に多い病気はあるのでしょうか?



東山院長 犬の場合、冬になると結石が増えますね。運動不足になったり、飲む水の量が減ったりすることが原因ですが。人間と一緒に暮らしていると、どうしても食生活が人間の環境にひきずられます。気をつけてあげないといけないですね。



――猫の病気では、最近はどのようなものが多いですか?



東山院長 膀胱炎(ぼうこうえん)が増えていると思います。



――何か原因があるのでしょうか。



東山院長 猫はもともと怖がりな生き物です。精神的なストレスに弱くて、それが原因で心因性の膀胱炎になってしまうことが多いようです。



■獣医の世界も専門化が進んでいる



――珍しい患畜を診察したことはありますか?



東山院長 えりまきトカゲを診たことがあります(笑)。あとはリクガメとか。



――どうなりましたか?



東山院長 専門じゃないので、専門の先生のいる病院を紹介いたしました。分からないまま治療はできませんからね。



――やはり爬虫(はちゅう)類を診てくれる先生もいるんですね。



東山院長 そうですね。獣医の世界も専門別に分かれてきています。ご存じないかもしれませんが、例えば「鳥類専門」、「眼科」といった専門の病院もあるんですよ。



――獣医さんの仕事は何が大変ですか?



東山院長 やはり急患でしょうね。休みの日とか休診時間でも急患はやって来ます。人間のお医者さんと違って基本的にERがありませんからね。自分が主治医であれば診てあげなくちゃいけません。休めない仕事です(笑)。



――人間であれば救急車で適当な病院に連れて行ってもらえますからね。



東山院長 最近では救急病院も出てきてるんですよ。夜間救急で患畜を受け入れますという。やはりニーズがあるわけです。



■常に最善を考えることが大事!



――獣医としての東山先生のポリシーを教えてください。



東山先生 私は獣医になってから13年になりますが、治療に当たって常に考えていることは「最善は何か?」ということです。患畜にとって最善のこと、飼い主さんにとって最善のこと、これを考え続けています。例えば、最新治療を望まない飼い主さんだっておられるわけです。とてもお金がかかってしまう治療だってあるわけで、その選択をされない場合もある。では、そこで最善とは何なのか、と考えなければいけないです。いつも獣医として最善の方法を実現すること、これが私の考えです。



――獣医さんに必要なことは何でしょうか。



東山先生 コミュニケーションスキルだと思います。飼い主さんときちんと話し合って信用していただくこと、そのためにはコミュニケーション能力が絶対に必要です。私たちは患畜から直接症状を聞き出すことができませんのでね(笑)。その分、飼い主さんから症状を聞き、どんな治療をするかを丁寧に話し合わないといけません。獣医は患畜だけでなく人と相対する職業なんですよ。







(高橋モータース@dcp)



東山先生の『ひがしやま動物病院』

http://www.higashiyama-ah.com/