[其ノ二 FX 投資戦略編]オバマ再選+「財政の崖」の緩和で米ドル高へ
いよいよ今年のメインイベント、米国大統領選挙だ。オバマ再選なら円高、ロムニー当選なら円安…でも、重要なのは「財政の崖」


どちらが大統領でも「財政の崖」は緩和へ?米ドル買いの好機!

これまでの米ドル/円は、世界の金融市場や日米金利差における、いわゆる?リスクオン・オフ〞の影響を大きく受けてきました。

しかし、11月6日の米国の大統領・議会選挙の結果も、新政権の通貨・経済政策への思惑から、米ドル相場に影響を与えることになります。

民主党のオバマ現大統領は輸出振興を掲げていたためドル安志向であるのに対し、共和党のロムニー氏はドル安効果を持つFRBのQE3に批判的な姿勢を示しており、ドル高志向があるといえます。

1979年以降の大統領選挙前後の米ドル/円の動きを見ると、民主党候補再選の場合は選挙後1週間で3%程度のドル安となる傾向がある一方で、民主党から共和党に変わる場合には1カ月後にかけて4%程度のドル高となる傾向があります。

つまり、オバマ大統領再選ならドル安、ロムニー候補勝利ならドル高の可能性が示されています。世論調査ではオバマ大統領支持のほうが多いため、現時点では「オバマ大統領再選でドル安」の可能性が高いでしょう。

大統領選挙から年末にかけては、来年初から発動される財政緊縮=「財政の崖」がより重要な問題。これまでに決まっている措置がすべて発動されると、6500億ドルの財政緊縮となります。これは米国のGDP(国内総生産)の4%に相当するので、現状の成長率から換算するとマイナス成長に転じることに。

これは足元の景気の弱さを考えれば政治的に厳しく、どちらが大統領になっても2000億ドル程度の緊縮で済むとみられます。ただし、オバマ大統領が再選して議会でも民主党が勝利すると、緊縮規模はさらに小さくなる可能性があります。そうなれば来年の成長率はマイナスに陥ることはなく1%台後半以上を確保でき、「財政の崖」
懸念の後退から米ドルは買い戻されやすくなります。

大統領選挙後に米ドルが売られる局面があったとしても、「財政の崖」の緩和措置が合意となれば、米ドルは持ち直すとみられるため、押し目買いの好機となるでしょう。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
バークレイズ銀行チーフ FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループなどを経て、現職。特に欧州経済に詳しい。


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この記事は「WEBネットマネー2012年12月号」に掲載されたものです。