全比較!年収「1500万vs400万」の日常習慣【1】

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相手の時間の使い方、意味のあるムダ、高年収者に共通する3つの特徴――。アンケートで明らかになった「残念な人」を脱するヒントとは?

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調査概要/2010年12月9〜11日、マクロミルを通じて、ビジネスマン(派遣、契約スタッフを除く)を対象にインターネットアンケートを実施。有効回答数は618人。うち、年収400万以上500万未満が309人、年収1500万以上が309人。

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■年収の高い人は常に仕事のことを考える

年収の高い人と低い人とで、時間の使い方はどのように違うのだろうか。その答えを探るにあたっては2つの視点があるといえるだろう。

ひとつは、基本的な考え方や習慣が、結果として年収の差につながるとの視点だ。ホワイトカラーの仕事は可視化しづらく、時間を直接測定するのは難しい。アンケートはその有効な調査手段のひとつであるが、往々にして「本来の姿」ではなく、「あるべき姿」「ありたい姿」を反映しがちでもある。しかし、それを割り引いてみても、今回実施したアンケートで、考え方や習慣にこれだけ大きな差が出たことは驚きである。後に詳しく見るように、高い年収者をつくる考え方や習慣はあるといえそうだ。

もうひとつは、その仕事自体が時間の使い方を規定するという視点だ。賃金の低い仕事はインプットからアウトプットに至るプロセスや、仕事の枠組みが明確化しやすく、定められた時間がくれば、仕事の最終的な成果と関係なく終えることができる。本人の努力も、その仕事の仕組みの枠の中での生産性向上にしか影響を与えない。

一方で賃金の高い仕事は、仕事の仕組みそのものをつくり出す、チームをマネジメントする、あるいは新たな取引を成立させる、新技術や商品を生み出すなど、時間当たりの生産性が測定しにくい類の仕事だ。そうした仕事において、賃金は時間ではなく成果と交換されている。より優れた成果は、際限なく追求できるがゆえに終わりが決められない。結果的に、多くの時間を仕事に投入することになるのである。

アンケートの結果を見ると、「人生のプライオリティは、まず仕事だと思う」と回答した人が、年収1500万円以上では、ややあてはまるも含めて31.7%に上るのに対して、年収400万円台では18.1%と、13.6ポイントも少ない。さらに、「休日であっても、仕事をしていることが多い」と回答した人が1500万円以上では34.9%を占め、400万円台より20%多く、「オフや仕事以外の時間でも、仕事のことや新しいアイデアを考えていることが多い」人になると1500万円以上では56%を占め、400万円台よりも34ポイント以上も高くなっている。

反対に「オフや仕事以外の時間は、趣味やリフレッシュのために使うと決め、仕事を持ち込まないようにしている」人は400万円台で約6割を占め、1500万円以上より15ポイント近く多くなっている。400万円台のほうがプライベートと仕事を明確に分けていることがわかる。これらのことからも、仕事への投下時間の絶対量は、高年収者のほうが大きいであろうことが推測できる。

■自分の作業時間を正確に見積もれるか

「1日の24時間を何にどのくらい使っているか、おおよそ把握している」人は1500万円以上では、46.6%が「あてはまる」と回答しており、400万円台の人よりも17ポイント以上も多くなっている。また、「1日を15分、30分などの単位で区切り、一つ一つの仕事を、その時間までに終わらせるように意識している」人が1500万円以上では10ポイント以上、上回っている。

どのような問題解決をするにも、現状に対する正しい理解が必要だ。効果的な時間の使い方を考えるに当たっては、まず自らの時間配分の全体像を把握しなければならない。そして、ある仕事を完了させるのにどの程度の時間を投下しているかと同時に、一定の時間の中で自分に何ができるのかを知っていなければならないのである。

しかし、イメージしていることと実際にしていることは異なるものである。ToDoリストをつくるのは仕事の基本作業のひとつとして誰もが知っていることであるが、実施しているかどうかはまた別である。「その日にやるべきことのToDoリストをつくっている」「To Doリストをつくる際、それぞれの作業にどのくらいの時間がかかるかを考えて、時間の見積もりを立てている」「仕事のプライオリティを考えるためだけの時間を、仕事の前に確保している」人が1500万円以上では、400万円台の人に比べ、それぞれ約10ポイント高い。また、「ToDoリストをつくるだけでなく、いつまでに終えるか、期限をつけている」という質問では「あてはまる」で2倍以上の差があった。

朝の時点ではできると思っていた1日の仕事が夕方になっても半分も終わっていない、30分程度でできると思っていた仕事が、結局2時間かかっていた、昼間やろうと思っていたことを夕方になって思い出した、などというのはよくあることだ。ToDoリストを効果的に活用するためには、ある案件の仕事を始める前にしっかり時間をとって、もう一段細かい作業計画のToDoリストをつくることだ。個々の作業時間を正しく見積もったうえで、ひとつひとつに期限を設定し、最初の段階で計画を練り上げておく。

以前、あるテレビ番組の企画で料理にかかる時間を調査したことがある。漫然とつくると1時間30分かかる献立は、時間配分を変えると50分でつくることができる。野菜を切ってゆでる、ハンバーグを捏ねて焼く、などの作業単位時間を正しく見積もり、自分が何もしなくてよい時間に他の作業を重ねていくことにより、短縮できるのである。仕事に置き換えれば、自分以外の人からのアウトプットを待っている時間に何をするのかを計画し、そのために他人へのお願いをどの程度前倒しでする必要があるかを綿密に計画することで、時間の使い方が大きく変わるということである。

先ほど24時間の使い方を把握しているかという設問があったが、1週間という区切りで見ると、さらに大きな差が見られた。「1週間の168時間を何にどのくらい使っているか、おおよそ把握している」に「あてはまる」人が、1500万円以上では400万円台の3倍近くになっている。1日の時間を把握していれば、その足し算が1週間なのだが、話はそう単純ではなさそうだ。

「1週間のうちで、その曜日にやると決めていることがある」「1週間の曜日の使い方を、曜日により変えている」「1週間の前後半では違った使い方をしている」人が、1500万円以上だと、それぞれ2〜7倍と差が顕著にあらわれた。もちろん定例会議等の外的要因によって規定される部分もあるが、自分の中でのメリハリと、仕事相手との関係性を考慮して自分で決められることも多い。

1日の中でも、思考力が鈍くなりがちな食事の後には単純作業でこなせる仕事をすると効率がいいように、1週間という時間枠の中でも、中だるみしそうな水曜は簡単に終わる仕事をまとめて片付けて早く帰り、木曜は集中して考える日と決める、というのがメリハリだ。また、取引先や社内の関係者がデスクにいることが多いから、月曜の午前中はアポの調整に充てるといったことは、相手を考えた曜日の使い分けの工夫といえる。

仕事時間の中でも、成果を出すべき時間は本当に限られている。一流はその貴重な瞬間に集中力を発揮できるよう準備を怠らない。極端な例をあげると、プロゴルファーの石川遼選手が2010年のシーズン中に試合でボールを打った時間はわずか16時間である。1年の総時間のわずか0.2%のために、練習、道具の手入れ、食事、睡眠などにあれこれと工夫しているのだ。また、試合中であっても集中力を維持するためのコツだけでなく、切れた集中力を取り戻すスイッチも持っているのだろう。

■集中力が切れたら別の仕事で気分転換

これらのことは、ビジネスパーソンにとっても大いにあてはまる。「1日のうちで、自分が最も集中できる時間帯、場所を把握し、積極的に活用している」人が1500万円以上では15%以上なのに対して、400万円台では5%程度にとどまっている。また、「集中力が切れたら、別の仕事に集中する」「集中力が切れたら、場所を変えるなどして、仕事の続きに集中する」と回答した人は1500万円以上がそれぞれ約10ポイント上回っている。

このことからも、高い年収を得ている人は、成果を出すためにいかに集中するかを重視して仕事に取り組んでいることがわかる。「自分なりの集中モードに入るためのコツを持っている」にいたっては、1500万円以上の23.3%があてはまると回答し、400万円台の3倍以上になっている。高収入の人ほど、自分のパフォーマンスを最大化するための環境を経験的に知っているのである。

興味深かったのは、「朝は決まった時間に起きるより、疲れが残らないよう、体調や睡眠時間の長さを見て調整をしている」人が1500万円以上だと3割に達しており、400万円台の1.8倍以上となっている点だ。昔から早起きを推奨する人は多いが、成果を出すことに焦点をあてた場合、少し朝寝坊をすることでパフォーマンスが上がるならそれもよしとする考え方は、理にかなっている。

冒頭でも述べたが、高い年収を得ている人ほど生活の中での仕事のプライオリティは高く、実際に仕事に費やす時間も多い。「仕事は、残業してでも会社で終わらせる」と回答した人がともに約半数を占める一方で、アンケートからは1500万円以上の人に独特なワークスタイルを垣間見ることができる。「仕事が終わらないときは、残業するのではなく、家に仕事を持ち帰る」「仕事が終わらないときは、休日出勤するのではなく、家で仕事をする」人が1500万円以上でともに約2.5倍となった。

最近は情報管理上、持ち帰りの仕事を禁じている会社も増えているが、それを考慮しても大きな差である。1人で考える仕事はどこでもできるが、社員との協業や、社内の情報へのアクセスが必要な仕事は職場でしかできない。仕事の組み立てを考える時点で、そうした仕事の特性を踏まえて計画しているのだろう。

もうひとつ気になったのが、休日に家で仕事をする人が、1500万円以上では3割を超える一方、400万円台では13%に満たない点である。私の周りを見ても、年収が高い人は休日でも家で仕事ができる環境を整えている。環境というのは、仕事部屋など物理的なスペースの有無だけでなく、家族の理解と協力が得られている点も含まれる。

逆にこれらのマネジメントがうまくできているからこそ高い年収が得られているとも考えられる。給料が増えたら書斎を持ちたいという声を時々耳にするが、高年収を得ている人は、給料が安いうちから自宅で仕事ができる空間を持っているものである。

[図版はこちら] http://president.jp/articles/-/7818

※すべて雑誌掲載当時

(アジルパートナーズ パートナー 山崎将志=分析・文 飯田安国=撮影)