ドル大バラ撒き時代の株とFXの新戦略(前編)
ECB(欧州中央銀行)に続いて、FRB(米連邦準備制度理事会)もQE3(量的緩和第3弾)に踏み切りました。そして、日銀もそれに追随しています。今、マーケットで何が起こっているのか? 世界的金融緩和時代の投資戦略をクエスチョンで解説していきます。


Q1 ついにFRB(米連邦準備制度)がQE3に踏み切りました。これは為替や株にどのような影響を与えますか?
回答者 ▶ 河合達憲さん

今回のQE3の目的は、米国の金利低下を持続させることです。これによって住宅市場をはじめとする諸金利の低下を促すことで、景気回復への援護射撃としての効果を狙っています。

株や為替については、時間軸で2つのステージをイメージしておく必要があります。

まず短期的には、「追加量的金融緩和」なのだから、当然、米国債の金利は低下します。つまり、日米の金利差が狭まるわけで、これはドル安(円高)要因となります。為替という側面からいえば、日本株にとってはマイナス材料です。

中期的にはQE3が奏功し、実体経済にプラスとなれば、米国景気は上向き、米国債の金利が上昇、ドル高・円安を招き、日本株は反発するというシナリオが描けます。

米国景気が上向き、金利が反転上昇する局面では、「2015年半ばまで低金利政策を維持する」という口約束は現実的ではありません。その状態で低金利政策を続けると、今度はインフレを招くことになり、結果的に景気の腰折れ要因となるからです。つまり、場合によっては、低金利政策は早期に打ち切られる可能性もあるわけです。

Q2 QE2と比べて、今回のQE3は特徴的だと聞きました。どこがどう異なるのですか?
回答者 ▶ 藤井英敏さん

QE3については、「労働市場の見通しが顕著に改善するまで継続する」と記されており、具体的な期限の定めがなく、かつ規模を事前に決めない「オープンエンド型」とした点が、QE1やQE2との相違点です。

米国企業が積極雇用に転じ、労働市場の見通しが顕著に改善するには相当の時間を要すると考えられるため、当然のことながらQE3も長期化する見通しです。しかし、オープンエンド型としたことで、インフレ圧力が高まった場合に、FRBは期限・規模に縛られずにQE3を打ち切りやすくなりました。

また、購入対象は国債ではなくMBS(住宅ローン担保証券)であるため、FRBは自らの政策手段で住宅市場へのテコ入れを行なう意図を明らかにしました。結果、米国では住宅株と銀行株が上がり、日本でもメガバンクなどがツレ高するでしょう。米国の住宅向けに建設資材を供給する日本メーカーも物色される可能性が高そうです。

Q3 ECB、FRB、日銀の追加緩和には、どのような違いがあるのでしょうか?
回答者 ▶ 古沢真紀さん

ひと言で表現すると、それぞれの追加緩和の違いは、ECBが「危機抑止」、FRBが「景気浮揚」、日銀が「円高阻止」といえるのではないでしょうか。

ECBは南欧国債の無制限購入策を打ち出したものの、現時点では実行されておらず、支援要請に慎重なスペインがいつボールを投げるのかに注目です。FRBは大統領選挙を目前に控え、雇用・消費拡大は必修課題。QE3で市場に強いメッセージを発信したことは非常に効果的でした。

日銀は、木内・佐藤両氏が加わった10月の展望レポートに期待。さらなる金融緩和への道筋が示されれば、円高阻止→デフレ克服→成長戦略につながる可能性も十分です。

Q4 QE3を発動後、マーケットはリスクオンの状態になっているといわれています。豪ドルなどの資源国通貨は上昇しますか?
回答者 ▶河合達憲さん

金融緩和という政策は質的(利下げ)でも量的(債券等の買い入れ)でも、基本的なことは変わりません。