8日、阪神の守護神・藤川球児がFAでメジャー移籍を目指すことを発表した。

通算220セーブを誇るタイガースの看板選手が、かねてから口にしていたメジャーへの挑戦。円満移籍かと思いきや、これがそうでもないらしい。在阪スポーツ紙記者のC氏が明かす。

「阪神球団の編成方針はメチャクチャですよ。なかでも最大の問題は藤川球児への対応。本人のメジャー希望は変わらないんですが、交渉に備えて渡米しながらも“引き留めてほしい気持ち”もあったのに、それをまったくわかっていない」

“引き留めてほしい気持ち”とはどういうことか。C氏が続ける。

「心情的には行きたい。でも、今の球威で通用するかどうか不安もある。それに、低迷している阪神を見捨てて出ていくようなイメージをファンに持たれたくもない。しかし、来年、再来年まで待てる年齢ではない……」

そんな葛藤のなかでのメジャー希望。球団がひと言「行かないでくれ!」と熱意でぶつかれば、おそらく内心は喜んで残るはずだというのが記者の見方だ。

だが、中村勝広GMは「非常に残念」と言いながらも、すでに流出前提でトレードや外国人探しを始めているという。後手に回らないためにもGMとして当然なのだが、一方で「もう球児はいらない」と意思表示をしているようにもとられてしまう。

「そうだとしたら、ホンマにアホですよ! 全盛期から比べれば衰えましたが、それでも今季の防御率は1点台。ケガさえなければ20から30セーブは十分いける投手ですよ。ポスト球児なんて簡単につくれっこないし、外国人だってイチかバチかでしょ。抑えなしで、今の投手陣で一シーズン乗り切れるはずもない」(C氏)

その阪神は、コーチ陣をほぼ総取っ替えして、ドラフトでは大阪桐蔭高校・藤浪晋太郎の指名権を獲得。FA権を獲得した鳥谷敬の残留は決定し、平野恵一も宣言したものの残留の可能性が残されている。さらにメジャー組の西岡剛、福留孝介もほぼ阪神入りとみられており、来シーズンは明るい材料が多い。ところが、実は問題だらけだとC氏は嘆く。

「野手にしても福留はともかく、西岡を獲って鳥谷、平野も残す。さらに上本博紀という今季伸びた若手も含め、みんな二遊間の、似たタイプの選手ばかり。それでいて一、三塁は決まっていない。そんなムチャクチャな戦力バランスで勝てますかね? 無責任な他紙は森田一成や中谷将大を『期待の若手』と持ち上げますが、ハッキリいって公式戦になったら一軍当落線上のレベルでしょ」

ほかの主力選手を見ても、新井兄(貴浩)は阪神に来て5年間、一度も本塁打20本を打っていない。今年、4番を打った弟(良太)も秋季練習で左脇腹を肉離れと、不安は多い。はたして、来季の阪神はどうなるのか?

「よくて5位、普通に考えたら最下位もあるでしょ。それに福留へのオファーだって、裏を聞いたら恥ずかしい話なんです。金額の詳細は不明ですが、阪神が最初に提示した金額は、DeNAよりえらい低かった。それでスポーツ各紙が『福留DeNAか』と書いたんです。で、慌てた阪神のフロントが2度目の交渉で上積みしたとか。ケチったのか、よその出方を読み間違えたのかわかりませんが、だったら最初からその額出せよ、と(苦笑)」(C氏)

阪神ファンのため息は、まだまだ続きそうだ。