『日本サッカーMF論』

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そこでシュートだろう!なぜパスをする……日本サッカーの試合を見ながら、こう叫んだ経験がある人は少なくなさそうだ。日本のサッカーはなぜ、そんな試合運びになりがちなのか、これからの日本サッカーが強くなるためには何が必要なのか。

そんな疑問にこたえてくれる本だ。元Jリーガーとスポーツライターの2人の筆者が、「パス」を回しながら1冊の本を組み立て、そしてシュート――そんな仕立てになっている。読めば、サッカー観戦が一層楽しくなりそうだ。

スポーツメディアは「芸能マスコミと化している」

『日本サッカーMF論』(実業之日本社)。ジュビロ磐田の名MF(中盤)として知られ、J1通算100ゴールを達成した藤田俊哉さんと、サッカー取材「ウン十年」の杉山茂樹さんの共著だ。「日本はなぜ中盤天国なのか」といった同一テーマについて2人がそれぞれの視点で交互に描きながら、次々と新テーマを展開している。

日本代表などのMFの位置付けの移り変わりを追ったり、「日本人の気質」に迫ったりしながら、「日本サッカー」の姿を浮き彫りにする。現状に対する厳しい批判も載っている。「日本の歪んだ構造」の章では、杉山さんが「(日本)代表中心主義」や、「(選手を)ヨイショはするが批判はしない」日本のスポーツマスコミについて、厳しい見方を示している。後者に対しては、「芸能マスコミと化している」と断じている。

なぜ「MF」に焦点を当てたのか、「MFの解釈」の変化とは何を意味するのか。杉山さんは、「中盤天国のニッポン」について、「まさにいい感じで崩れることを願わずにはいられない」と書いている。日本サッカーが強くなるためには、ファンを含めた「サッカーを観る目」の強化も欠かせない。そんな「強化」にも役立てたい一冊だ。