デジタル家電編

業界トレンドNEWS Vol.151

デジタル家電編

活況だった2010年から一転。厳しい状況が続いている業界。そんな中注目の高付加価値商品とは?


■液晶テレビが失速。「ネット融合」など付加価値アップと、業務提携などを通じたスケールメリット追求が回復への鍵

ここでは、液晶・プラズマテレビなどの薄型テレビ、DVD・ブルーレイ・ハードディスクレコーダー、デジタルカメラ、携帯オーディオプレイヤーなど、ハイテク技術が使われている家庭用電化製品について解説する。

2010年のデジタル家電市場は活況だった。特に好調だったのが、国内で地上デジタル放送(地デジ)への切り替えと、「エコポイント制度」という強力な追い風を得た薄型テレビ。これに引っ張られ、DVD・ブルーレイ・ハードディスクレコーダーも販売台数を伸ばしていた。ところがこうした傾向は、エコポイント制度が終了し、地デジ切り替え需要も一段落した11年に入って一変。社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、10年の薄型テレビ国内出荷台数は2519万台。しかし、11年には1983万台に急減してしまった。そして12年になると、落ち込みの幅はさらに深刻化。1月から9月までの販売台数は、対前年同期に比べて71.5パーセント減の469万台だった。販売増が期待されていたロンドン五輪直前の「夏商戦」期も、5月が対前年比74.6パーセント減、6月が80.3パーセント減、7月が84.7パーセント減という危機的な水準にとどまっている。

急激に冷え込んだ国内市場に対し、薄型テレビの世界市場は緩やかに成長中だ。ところが、サムスン電子やLGエレクトロニクスといった韓国企業にシェアを削られ、日本メーカーは苦戦を強いられているのが現状。さらに、競争の激化による単価の急落も、各社に追い打ちを掛けている。ライバルは韓国メーカーだけではない。パソコンやタブレット端末、アップル社の「AppleTV」やグーグル社の「NexusQ」のようにネットワーク経由で配信された映像を見るタイプの新製品も、テレビにとって強力な競合となりつつあるのだ。その結果、パナソニック、ソニー、シャープというデジタル家電中心の大手電機メーカーは業績が悪化。経営戦略の見直しや、一層のコストダウンなどを迫られている。

これに対し、デジタルカメラの分野は堅調だ。社団法人カメラ映像機器工業会の「2012年カメラ等品目別出荷見通し」によれば、12年のデジタルカメラ出荷台数は、対前年比1.6パーセント増の1億1730万台と予測。特に、「ミラーレス一眼カメラ」(被写体をのぞき見る「光学ファインダー」を排し、液晶ディスプレイなどで被写体を確認するカメラのこと)などレンズ交換式のカメラは、17.6パーセントという高い伸びが予想されている。また、無線LAN機器も成長が続いている分野の一つだ。

今後のデジタル家電業界では、価格競争に陥りやすい汎用品で勝負するのではなく、付加価値性の高い製品を提案することが、いっそう求められるだろう。例えば、デジタルカメラの分野では、無線LANを通じて写真をスマートフォンやテレビに送信してスライドショーを楽しんだり、プリンターと無線接続して直接印刷できたりする機種が人気。このような「ネットとの融合」は、模索すべき方向性の一つと言える。一方、スケールメリットを目指して合併・業務提携を行う動きにも注目だ。11年8月、官民出資の統合ファンドである「産業革新機構」が旗振り役となって、ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業が統合されることで基本合意。ジャパンディスプレイという合弁会社が成立し、12年4月に事業を開始した。このような「日本連合」結成や、外国企業と手を組む動きにも注目が必要だ。