ぽってり唇と俊敏な動きがたまらない元祖ゆるキャラの「たら丸」


日本全国に生息するゆるキャラたち。その数はもはや数えきれないほど。郷土愛にあふれるゆるキャラは、その土地のすべてを体現しているまさにまちの顔なのだ。





そこで、「元祖・ゆるキャラ」の異名を取る日本海に面した港町・岩内町の「たら丸」を紹介しよう。



■ご長寿ゆるキャラは北海道の港町にいた!



岩内町をPRするマスコットキャラクターとして1985年8月9日に誕生したのが「たら丸」。決してゆるキャラとして企画されたのではないところがすごい。すでに年齢は27歳。脂ののり始めた年頃だ。



考案したのは当時、町内で洋装店を営んでいた今井さん(享年77歳)。若かりしころに上京した今井さんが築地市場を訪れたところ、自分の生まれ故郷である岩内産のたらこが高値で取引されているのを見て、とても誇らしかったとか。



そこで、郷土愛に目覚めた今井さんは、岩内町へ舞い戻り、いつかタラやたらこを町のキャラクターにしたいと思いをあたためた。時は流れて「たら丸」と双子の妹「べに子」が誕生したのだ。











■漁師ルックに誇りあり!岩内の特産品を体で表現



たら丸の容姿から、岩内町の特産品がひと目でわかる。岩内町は北海道で最初にスケトウダラの延縄漁を始めた場所。そこで、基本的にたら丸の身体は魚の「タラ」。ねじりハチマキに長靴のスタイルは岩内の「漁師ルック」。手には朝もぎの「グリーンアスパラ」を携え、ぽってりとした「たらこ」唇には笑みを絶やさない。







さらに、たら丸のプロフィールをチェックすると、岩内町の隠れた魅力まではっきりとわかる。趣味は「アスパラ」栽培に「海釣り」、「温泉」でまったりすること。好物は「すし」、「ニシン漬け」、「深層水」、そしてしつこいようだが「アスパラガス」。



実は岩内町は海洋深層水の産地としてもひそかにその名をとどろかせているのだ。海の幸も山の幸もある岩内町。ここで珍味中の珍味といえば、タラの白子を使ったかまぼこ、通称「たちかま」だ。タラ漁が最盛期を迎える冬だけの味わいでもっちりとしてうま味が濃い。地元ではわさびじょうゆで刺し身のように食べられている。



■ボロボロになっても戦うゆるキャラの鏡!



このたら丸、着ぐるみは現在3代目。おりしもゆるキャラブームの到来で、先代の2代目が「第1回ゆるキャラ日本一決定戦」に出場し、見事準優勝に輝くなど活躍の極みを見せた。特技が「ゆるキャラフットサル」や「バトルロイヤル相撲」というたら丸は、とにかく動きが機敏。ゆるキャラ界のアスリートと呼ばれても不思議はないほど。



地元の「怒涛まつり」やニセコいわない国際スキー場で行われる「チョッカリ大会」など、数々のイベントに魚体を張って参加。若干、調子に乗りやすい性格のため、頼まれてもいないオーバーアクションで周囲を楽しませていた。その結果、ウロコも背びれもボロボロになり、自慢のたらこ唇にもヒビが。痛々しい姿で、気力・体力・鮮度が限界となり、2007年に3代目へとバトンが渡された。



今まで以上にポテンシャルが高くなった三代目たら丸もまた、二代目同様に活躍を見せてくれるに違いない。イベント参加だけでなく、全国のたら丸ファンにバースデーカードや年賀状を出したり、悩み相談に答えたり、人気稼業の自覚を持って地道な活動も怠らない。



■岩内土産はたら丸グッズで決まり!



岩内町の道の駅「ガイドセンターたら丸館」には、たら丸グッズがあふれ、全国各地からここでしか買えないたら丸商品を求める観光客でにぎわう。







キーホルダーやハンカチはもちろん、スターバックスにも持ち込めるたら丸タンブラーやたら丸メモ帳とたら丸ボールペンは仕事の効率がアップしそうだ。決してタラの身は入っていないが、たら丸茶も人気。タオルやぬいぐるみ、Tシャツ、はっぴなどなど、あらゆるアイテムがたら丸でそろえることができる。







さらに、たら丸がたい焼きになってしまった「たら丸焼き」や「たら丸せんべい」など、甘味も充実。これは一度、行ってみるしかない。







ちなみに、どこへ行けばたら丸本人に会えるか、観光協会に聞いてみたところ、「ゴールデンウィーク中がねらい目」とのこと。う〜ん、回答もゆるくてざっくり。ゆるキャラブームが起こるまだずっと前の時代に、これほどゆるキャラ要素を備えたたら丸を誕生させたのは、必然か偶然か。岩内町に行ってみれば、その謎は解けるかも。



岩内町プロフィール

札幌から車で約2時間、小樽から車で約1時間30分。主な産業は漁業と農業。人口約1万4000人。



(菅谷 環)