市場の注目は、大統領選挙から「財政の崖」へ

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11月6日に投開票が行なわれた米大統領選挙では、オバマ大統領が再選を果たし、大統領選と並行して行なわれた米議会選挙では、上院で民主党、下院で共和党が過半数を獲得しました。

これにより、引き続き、上下両院の多数派が異なる「ねじれ状態」となることから、米経済が直面する大きな課題である「財政の崖」の回避に向けた対応で、両党が歩み寄りをみせない可能性に改めて懸念が強まっています。

「財政の崖」とは、米国でブッシュ前政権時代から段階的に導入したブッシュ減税(社会保障税の減税や所得減税)などが2012年12月末で期限が切れることと、2013年1月2日からの国防費を中心とした、連邦予算の強制削減の開始などが重なる、急激な財政緊縮を指しています。

CBO(米議会予算局)は、最新の米国の経済・財政見通しの中で、「当局が『財政の崖』について解決策を講じられない場合は、米国経済は景気後退とみなすべき状況になるだろう」との認識を示し、2013年のGDP成長率が前年比▲0.5%になると試算しています。

「財政の崖」回避には、減税失効の延期や歳出削減の見直しなどを行なう必要があります。

民主党・共和党ともに「財政の崖」の回避に向けて、方向性では一致していますが、財源確保や歳出削減をいつどのように行なうかについて、それぞれ異なる見解が示されており、両党が妥協点を見いだすのは容易でないとみられます。

来週には議会が再開されますが、年内は会期が短いことに加え、「ねじれ状態」による審議の遅れなどから、審議時間は限られるものとみられます。

それに対して、大型減税の失効と歳出削減は年末から年明けに迫っており、回避措置を早急に決定する必要があります。

そのため、年内の議会では、急激な財政緊縮を避ける暫定的な政策として、ブッシュ減税など一部の減税措置の数ヵ月程度の延長が決定され、今回の選挙を受け、来年から始まる新議会において、各種減税措置の延長や財源などが審議される可能性が高いとみられます。

ただし、金融市場は、民主党と共和党の協議が難航することで、昨年夏に米連邦債務上限の引き上げ問題の際のような市場の混乱を警戒しています。

市場動向を見極める上でも、今後の米議会での協議の行方に注目が集まります。

(※上記は過去のものおよび試算であり、将来を約束するものではありません。

)(2012年11月9日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。

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