放送・通信業界のリーディングカンパニーとしてさらなる成長を目指す

人事部長インタビュー Vol.37

株式会社ジュピターテレコム(J:COM) 中谷博之さん

総合メディアカンパニーとしてさらなる事業拡大を目指す同社の戦略とは?


■ケーブルテレビ事業とメディア事業を両輪とする総合メディアカンパニー

お客さまにサービスを提供するケーブルテレビ事業(プラットフォーム ※1)と、メディア事業(コンテンツ)の両方を持っているのは、日本では当社が唯一の企業です。アメリカにはコムキャストという最大手の会社がありますが、同社と同じようにケーブルテレビ事業とメディア事業の2つの業態を武器に、今後もさらなる事業の拡大を目指しています。
(※1)ソフトを動作させるのに必要な、装置や環境などのこと。

私は、アメリカ カリフォルニア州サンノゼにあるケーブルテレビ局で1年半ほど勤務したのち、当時の株式会社ジェイコム東京の局長に就任しました。その経験を通じて実感したことは、アメリカで先行していたことが数年後に必ず日本に入ってくるということです。映像配信の次は、インターネットなどの通信サービス。またサービスに限らず、オペレーションを統合してコストを削減するといった経営手法も同様です。M&Aを繰り返し、今やアメリカのケーブルテレビは主として5社に集約されていますが、日本もいずれ数社に絞られるのではないかと考えています。

ケーブルテレビもインターネットも電話も、当社が扱っているのは他社と同種のサービスです。今後はさらに顧客獲得競争が激化することが予測されます。その中でシェアを獲得するには、当社の強みを生かすことが重要です。全国で展開している事業会社は、自社のサービスを広く伝えるためにマス媒体を利用せざるを得ませんが、当社は事業エリアを限定して展開している上、各拠点ごとに事業所を設け現在約2500人の営業スタッフがFace to Faceによるお客さまの対応を行っています。この地域密着体制が、最大の強みだと考えています。

日本の今後における人口構成を考えると、主要年齢層は50代以上。その年代層は、対面で説明を受けることを好む傾向にあります。番組コンテンツ自体は従来商品ですが、それをケーブルテレビやVOD(※2)などのデジタルツールを使って提供する。その契約は、担当者が各家庭を訪問し、アナログに営業していく。つまり“デジタルをアナログにセールスする”ことが、当社の最大の強みなのです。
(※2)ビデオ・オン・デマンド。視聴者が観たいときに、観たい映像コンテンツを視聴できるサービス。

IP伝送(※3)の発展により、ケーブル設備に巨額な投資をすることなく、誰でも簡単にPCやスマートフォンを使って多種多様な映像を視聴することが可能となりました。だからこそ今後はさらに“対応力が勝負”となります。当社では、エリアごとに営業担当を決め、ご契約からアフターフォローまで、1人の担当がきめ細やかな対応を行っています。
(※3)インターネットプロトコル(パケット交換の仕組みを用いてコンピュータやネットワークを相互接続する通信プロトコル)を使って、HD映像信号や音声信号などを送ること。

今後はアフターフォローもさらに重要になってきます。「使い方がわからない」などのお電話は、カスタマーセンターにいる約2700人のオペレータが対応しますが、その後すぐに営業担当が引き継ぎお宅を訪問するなど、お客さまフォローも充実させていきます。これまでも同様の手法をとってきましたが、今後はさらに徹底していくつもりです。

また、メディア事業において、これまでの映像配信手段はテレビチャンネルだけでしたが、今や映像も1作ずつネット配信できる時代です。その中で、他社と差別化できる特徴のひとつは、コンテンツの質の充実です。例えば、スポーツチャンネルについては、放送はライブ(生放送)が基本。現地からの中継に即時に解説をつけ、試合が長引いた際には機敏に番組編成を変えて最後まで放送します。このようなお客さまの要望に合わせた番組編成やラインナップも当社の強みです。

また、メディア事業強化のため、2012年3月にアスミック・エース エンタテインメントを買収しました。同社は、自社制作も行う映画配給会社なので、今後はプロデューサーの優れた能力を当社の番組制作に生かしていこうと考えています。


■テレビやエンタメが好きで、一つのことをやり抜ける人が活躍

必要なのは、「これが最高だ!」と言い切れる我の強さや独特の勘、そして感性です。本当に面白いものを作るために必要なことは、自分がこれは最高に面白い、絶対にこれはヒットする、と自分の感性を強く信じ、他人に何を言われてもそれを貫くことです。マーケティングなどでお客さまの意向を吸い上げ、それを商品に反映する、一見正しいことのようにも見えます。ただ、この手法だとお客さまの期待を超えるものを生み出すことはできません。お客さまが思いもよらない、新しい、楽しいものを作り出すこと、そのためには自分の感性を貫くことが大事なのです。

また、営業やカスタマーセンターの業務で、最も大切なのはコミュニケーション能力です。営業は、当社なりのノウハウを持っていることが強みですが、何よりも重要なのは、常に相手が何を望んでいるのかを考えて行動することです。相手によって臨機応変に接し方や話題を変え、お客さまに「そこまでやってくれるの!?」といううれしい驚きをもたらすサービスを提供できることが理想です。お客さまのお叱りを受けることもありますが、それを解決するとお客さまとの距離が一気に縮まり、知人を紹介していただけることもあります。こうしたコミュニケーションの広がりは、営業ならではの喜びですね。

この仕事は、「テレビやスマートフォン、エンタメが好き!」という人でないと難しいでしょう。なぜなら、お客さまと話す際、「このゴルフ専門チャンネルは、全米や全英のメジャートーナメントを楽しめます」といった表面的な説明では、契約など取れません。「この間の試合は、あの場面がすごかったですね!」と自分が観て感じた臨場感をお客さまと分かち合い、盛り上がってこそ、契約につながるからです。

また技術系の採用は以前から行ってきましたが、今後はさらに力を入れていきます。これまではどちらかというとメーカーの主導で設備を受け入れてきましたが、現在は次世代セットトップボックス(STB)を共同開発しており、今後はR&D(研究開発)にも積極的に取り組んでいく予定です。どうすればお客さまが番組を楽しく見ることができるか、どうすれば使いやすい器材になるか、技術担当者はお客さま目線で日々ものごとを考えています。

当社で活躍しているのは、こうした「好き!」という思いをベースに、一つのことをやり抜ける人。何かしら「とことんやり抜いた」と言えるものがあればいいと思います。仕事は、とことんやり抜くもの。これはどの業界も同じですが、われわれの業界は、自分も楽しみながらやり抜ける仕事内容である点は魅力だと思います。仕事に打ち込むうちに、マーケットを見る目が養われ、新しい事業を思いつく――そういう人たちが、結果的に重要なポジションについています。