前回の2008年の大統領選キャンペーンの時からつい最近まで、何かとバラク・オバマ大統領(51)の出生地のことなどでイチャモンをつけ、世間を騒がせてきた不動産王ドナルド・トランプ(66)。オバマ大統領が再選されたことを、彼ほど大っぴらに嘆いている人も少ないだろう。


自分がホストのリアリティー番組「アプレンティス(The Apprentice)」だったら、「お前はクビだ!(You're fired!)」という名セリフ(?)を言えばすむのだが、その次の手段として、彼はTwitter上でつぶやくと言うよりギャーギャー叫び始めた。今回の標的は...選挙人団(electoral college)のシステムと、アメリカの民主主義のあり方。

「この選挙は完全なイカサマでこっけい極まりないね。こんなのは民主主義じゃない!」

「獲得票が多い方が負けだなんて...改革の時だ!」

彼がこの一般票の数についてツイートした時点では、共和党のミット・ロムニー候補の方が確かに、獲得票数でオバマ大統領をわずかに上回っていた。しかし開票はまだ終わっておらず、この後結局、オバマ大統領の一般票数がロムニー氏のそれを上回った。

さらにこの後のツイートでは、選挙人団を使うシステムを「民主主義の失敗作」と呼び、「われわれの国は素晴らしかったが(今は)真っ二つに分かれた国だ」と嘆き、午後11時過ぎ(米中部時間)にオバマ大統領の勝利が確定した時には、「世界がわれわれのことを笑ってるよ」「これで最初から計画練り直しか!」とも。これからも、オバマに対する攻撃の手はゆるめないということだろうか。
皮肉なことに12年前、フロリダ州の開票が終わりアル・ゴアが一般票数では勝ったにもかかわらず、選挙人票数でジョージ・W・ブッシュが大統領になった時だったら、この「選挙人票は民主主義の失敗作」という言葉に賛成した民主党支持者がたくさんいたことだろう。

ドナルド・トランプが実際に何か選挙制度改正に関してアイデアがあるのか、単に敵が勝ってしまい、「これでとうとうお前はクビだ!ハッハッハ」とツイートできなかったので怒っていたのかは今のところ不明だ。

【更新】翌日の7日になって、ドナルド・トランプはいくつかのツイートをアカウントから削除した。