3年先のリスクを感じ取るには、どうしたらいいか?

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■長いタームで仕事をとらえる

私たちは、つねにリスクとともに暮らしています。

リスクというと災害や事件・事故を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、そもそもリスクとは不確実性のことであり、私たちの仕事や生活で予定どおりにいかない可能性のあるコトすべてを指します。

たとえば仕事の成果物が期待した品質に達しないのは、仕事の中に潜んでいた品質リスクが現実のモノになったからです。予算がオーバーするのはコストのリスクが表面化したからであり、納期に間に合わなくなるのは時間のリスクが顕在化したからです。

つまり、私たちは日々、リスクを抱えながら仕事をしたり生活をしています。ハザードは対応するモノであるのに対して、リスクは日常的につきあってコントロールするコトと考えてもらえばわかりやすいでしょう。

リスクの意識が及ぶ範囲は、仕事のタームの長さに比例します。

小さな子どもが歩くときにリスクの意識を働かせるのは、右足を前に出す一歩先の範囲までです。二歩目の左足から先に何が待ち構えているのか、ほとんど意識していません。これは、小さな子どもが歩くときのタスクが一歩単位だからです。

■多くの人が見逃す変化に、違和感を抱けるか

私たちの仕事も似たところがあります。1時間単位で仕事をしている人は1時間先までしかリスクの意識が働かないし、1日単位で仕事をしている人は今日のリスク、1週間単位で仕事をしている人は今週のリスクしか察知できません。

空間軸でも同じです。仕事のタームが短い人は、リスク感性が身の回りにしか及びません。仕事のタームが長くなるにつれて、自チームや自組織、さらには周辺組織へとアンテナの届く範囲が広がっていきます。

現場に近いスタッフなら、1日から1週単位で、身の回りのリスクを察知できるレベルで十分でしょう。足元のリスクに対応できれば、ひとまず自分の身を守ることができるからです。

ただ、企業や組織のリーダーには、もっと広範囲に及ぶ感性が求められます。あなたがチームのリーダーなら1カ月から四半期先に潜むリスク、さらに組織の上流にいる経営トップなら四半期から1年先、3年先のリスクについて感じ取らなければなりません。

さもないと、チームや組織を危機に陥れたり大きなチャンスを逃すことになります。

アンテナの範囲を広げるには、普段から長いタームで仕事をとらえると同時に、リスクに対する感度を高めることが重要です。

3年先に業界の趨勢を変えてしまう大きな変化も、最初は微弱な兆候しか示しません。水面下では大きなうねりが起きつつあるのに、表面上はさざ波ほどの変化しかない。時代の変化とは、そういうものです。

3年先のリスクを感じ取るためには、そうした小さな変化を察知できる感性を磨いておく必要があります。

多くの人が見逃してしまう小さな変化に、「なにかおかしい」と違和感を抱けるかどうか。そこに優秀なリーダーとそうでないリーダーの差があるのです。

(※『ビジネススキル・イノベーション』第4章 感性でリスクを察知する(プレジデント社刊)より)

(横田尚哉)