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仕事を変わりたいと思ったら、今の仕事を続けながら就職活動するのがベストだろう。しかし、上司との関係、面接、退社時期など思わぬ落とし穴が待ち受けていることがあるものだ。

■今の職場を上手に退社して、キャリアアップする

在職中に次の仕事を探すのは楽なことではない。プライバシーを保ちにくいソーシャルメディアの時代には特にそうだ。今の会社で波風を立てずに、次の職場を見つけるにはどうすればよいか。転職先を探していることを上司に伝えるべきか。オファーをもらったら、退職予告期間は2週間で十分か。今の会社をどんな形で辞めるかは、次の会社でどれだけよい仕事をするかと同じくらい重要な場合がある。だからこそ、転職先を探そうとする人は、こうした問いに対する答えを知っておく必要がある。

就職市場は厳しいかもしれないが、だからといって今の仕事に留まらねばならないということではない。リストラの噂を耳にしたり、今の仕事が物足りなくなったりしたときは、次の仕事を探せばよい。就職市場は大方の人が思っているより活気があると、ボストンのキャリアコーチング会社、キャリア・ストラテジーズのプリシラ・クラマン社長は言う。「転職市場は、一部の人にとっては本当に厳しいが、新しい仕事を見つけて転職している人は大勢いる」。

もちろん、今の仕事を続けながら転職先を探すのは慎重さを要することだ。だが、うまくやれば、今の会社とよい関係を保ったまま転職することができ、それによって仕事上の人脈を強化することができると、エゴン・ゼンダー・インターナショナルのシニア・アドバイザーで、 『Great People Decisions: Why They Matter So Much』(邦訳『人選力』)の著者、クラウディオ・フェルナンデス=アラオスは言う。そのためには次の原則に従う必要がある。

■まずは社内での可能性を探れ

職探しの第一歩は、自分は何が得意で、何がしたいのかを徹底的に分析することだと、フェルナンデス=アラオスは言う。自分が次の仕事に何を求めるのかを明確にしてから、それを市場の状況と照らし合わせよう。市場には自分が求めている特徴を持つ仕事があるだろうか。自分は適切な資格を備えているだろうか。同じ分野にいる友人や転職コンサルタントなど、信頼できる助言者に相談して、自己評価を手助けしてもらおう。

自分が何を求めているかがわかったら、まず社内でそれを探してみよう。「私の経験では、今の会社で自分の仕事の幅やキャリアを広げる努力を十分せずに、すぐによそに目を向ける人が多すぎる」と、フェルナンデス=アラオスは言う。今の仕事の職務範囲を変えるとか、別のチームに移るとか、特別プロジェクトを引き受けるといった方法で、社内で自分のニーズを満たすことができるかもしれない。そうした機会が限られている場合やどうしても今の会社から飛び出したい場合は、外に目を向けよう。

■周りに相談していいケース駄目なケース

多くの場合、転職活動は内密にしておいたほうがいい。特に、上司との関係がぎくしゃくしている場合や、同僚からの嫌がらせが心配な場合はそうだ。また、転職先が見つからなくて恥ずかしい思いをするのは避けたい場合。こういったケースにおいては、転職先を探していることを今の職場に知られないようにするのが賢明だ。「内緒で職探しをしている場合には、ソーシャルメディアでバレないようにするとか、職場の電子メールは使わないといった注意が必要だ」と、クラマンは言う。「新しい仕事を探していることをみんなに知られたら、煩わしい事態になるおそれがある」と、フェルナンデス=アラオスは言う。

だが、信頼できる同僚がいる場合は、打ち明けることを検討してみよう。誰かに打ち明けることは、職探しの意欲を高め、行動を起こす助けになることがある。「人に打ち明けることで、新しい機会を本当にちゃんと探そうという気になるものだ」と、フェルナンデス=アラオスは言う。人に打ち明けることは人脈づくり(職探しを成功させるためのカギ)にも役立つ。今の会社と関係のない人に、新しい仕事を探しているとそれとなく話すことも助けになる。「今のポジションでうまくやっていますが、新しいことにチャレンジするという選択肢を捨てたことはありません」という類のことを言うのである。追いつめられているような言動をしてはならない。「『ここから逃げ出したくてたまらない』などとは、決して言ってはならない。どこかから逃げ出したくてたまらない人間を雇いたいと思う者はいない」と、クラマンは言う。

■平日の面接にどう対処するか

部下が新しい仕事を探していることを別の人間から聞くのが好きな上司はいない。だから、話せるときがきたら、すぐに上司に話すべきだ。

リスクは確かにある。部下が会社を辞めたがっていることを知ったら、上司はその部下が面接に行きにくい状況をつくったり、冷淡になったりするかもしれない。

だが、上司と率直に話し合うことにはいくつか利点があると、クラマンもフェルナンデス=アラオスも言う。上司は部下が社の内外で機会を見つける手助けをしてくれるかもしれないので、上司に話すことで、職探しが容易になることがある。「優れた上司はあなたが新しい適切な仕事を探す後押しをしてくれ、やがて魅力的な機会に引き合わせてくれるかもしれない」と、フェルナンデス=アラオスは言う。上司に話すことで信用を得ることもできる。上司はその部下の誠実さを認め、彼の退職に備えて準備する時間をくれたことに感謝するだろう。

上司が批判的な反応をするのが明白で、とうてい応援してくれそうにない場合は、次の仕事のオファーをもらうまで何も言わないのが賢明だろう。

ほとんどの会社が通常の営業時間内に面接を行おうとする。が、偽の会議をでっち上げたり仮病を使ったりして職場を抜け出して面接を受けてはならない。今の会社にウソをつかずに面接を受けられるよう、面接時間を調整しよう。上司に行動を逐一監視されているような場合は、休暇をとったりプライベートな時間を使ったりしよう。上司が疑いを持ったら、外せない私用があると言えばよい。

■エサつきの「引きとめ工作」に応じてはいけない

社員が退職の意向を伝えたら昇給や昇進の条件をつけ、引きとめ工作を試みる会社がある。これについては注意が必要だと、フェルナンデス=アラオスは語る。

「私の経験では、この手のオファーはたいてい昇給や権限拡大についての曖昧な約束だ」。が、これらの条件を受け入れた人のほとんどが、結局はそれから間もなく退職し、なかには解雇される人さえいるという。「いったん転職を決めてから、今の会社からの引きとめオファーを理由に断るのはやめたほうがいい。後々のキャリアの面からもまずい決断だ」。

いつ退職を会社に告げるかについて、予告期間は2週間程度で大丈夫だとクラマンは言う。だが、上級ポジションにいる人や進行中の大きなプロジェクトに関わっている人は別である。「主として重要性と責任の問題だ」と、フェルナンデス=アラオスは言う。「重要なポジションにいない人は、もちろん早く退職できる。重要な地位にいて大きな責任を負っている人の場合、今の仕事をすぐに辞めないことで、新しい会社からかえって高く評価される。それでも退職を本当に決めてから1カ月あれば通常は十分だ」。

状況がどれほど悪くても、突然辞めてはいけない。会社を怒らせるような辞め方は、将来のキャリアにマイナスになるおそれがある。「無責任に仕事を放棄してはならない。そんなことをしたら、悪い評判が永遠について回る」と、クラマンは言う。

(エイミー・ギャロ=文 ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)