柔道整復師に聞く。指をポキポキ鳴らすのはOK?




頭を傾けると首のあたりからゴキッと音が鳴る、指の関節を押さえるポキッと鳴る……、整体などの施術を受けるときにたまにそういう音が鳴り、自分でその動作をする人もいます。なぜそのような音が鳴るのでしょうか。



柔道整復師、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、詳しいお話をうかがいました。



■ポキポキと音が鳴っても凝りは改善しない



――首や手首、指や股関節をひねるとポキポキと鳴る音の正体は何なのでしょうか。



丸尾先生 音の正体やメカニズムはまだはっきりと解明されているわけではありませんが、「関節にある潤滑液が移動したときに発生する気泡の破裂音」という説が有力です。



ヒトの関節は、スムーズに動くように潤滑液の役割をする体液で包まれています。潤滑液は動きに従っていつもはスムーズに動きますが、関節に圧力がかかると気泡が発生し、骨や皮膚と共鳴してポキポキッとなると言われています。



関節は、何らかの圧力を与えない限り、自然な状態ではある一定のところまでしか曲がりません。ですが、圧力をかけてそれ以上に曲げたとき、つまり、自然な可動域を超えたときに、ポキッという音が鳴るわけです。



体液の気泡がはじけて、あんな音が鳴る? と思われるかもしれませんが、実験をすると近い音になることが分かっています。



ほかに、指の関節を曲げたときに、関節の一部の部位同士があたる音だ、腱(けん)がひっかかって鳴るという説もあります。



――指の関節を鳴らすと、指の節が太くなるのでしょうか。



丸尾先生 根拠はなく、立証されていません。「音を鳴らすと指に悪影響を及ぼすか」ということについて、何らかの悪影響があったという事例は耳にしたことがなく、通説ですが、「影響しない」と考えられています。



――ポキポキと音を鳴らして、関節や骨に支障はないのでしょうか?



丸尾先生 音を鳴らすのは、「すっきりした気分がする」、「単にくせ」という人が多いようです。

自然な動きで音が鳴る程度では問題ないでしょうが、習慣的に鳴らしていると、骨の変形や関節内部にダメージを与える、損傷の危険性もあると言われています。特に頭をカクっと左右に傾けて音を鳴らす人は、寝違えたときのような筋肉痛になる可能性が考えられます。



ポキポキと鳴らすために衝撃的な動作をするのは避けてください。



患者さんの事例として、肩関節が鳴るという28歳の男性は、10代ですでにひどい肩凝りだったようですが、肩をぐるぐる回すうちに、「ゴキゴキと鳴るようになった。音を鳴らすと凝りが少しだけ改善したような気になる」と言います。



ですが実際に、音を鳴らしたからと言って凝りが改善することはありません。凝りは筋肉の緊張ですから、関節から音が鳴ることとは関係はないでしょう。



整体やカイロプラクティックの施術中に音が鳴ることがありますが、音を立てることを目的で行うわけではありません。動作のうちで発生しているだけです。



――ありがとうございました。



まだ解明されていないことも多い関節のポキポキ音ですが、凝りが改善されないうえに、関節や骨、筋肉にダメージを与えることもあるとは。自分で音を鳴らすのは避けたほうがよさそうです。



監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10 TEL: 06-7176-6289 地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分 http://www.taisibasi.com/



(岩田なつき/ユンブル)