ザウバーの経営は火の車。消火活動なら任せとけ!と可夢偉のスポンサードを宣言した元F1ドライバーのタキ・井上氏

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全20戦のうち、アメリカGP、ブラジルGPの2戦を残すのみとなった今季のF1。レッドブル−ルノーのベッテルとフェラーリのアロンソが激しいドライバーズポイント争いを繰り広げるなか、日本人ファンにとって気が気でないのが小林可夢偉(ザウバー−フェラーリ)の動向だ。

日本GPで3位表彰台に上がったのも束の間、ザウバーが「来季もチームに残留するための条件」として可夢偉に突きつけたのは、10億円という巨額のスポンサー資金! そう、可夢偉は今、コース外での過酷な「集金競争」に晒されているのだ。

そんななか、突如としてツイッターで「可夢偉がザウバーに来年残れるようにスポンサーをすることに決めた!」と宣言する人物が現れた。その名はタキ・井上こと、井上隆智穗(いのうえ・たかちほ)。1994年にシムテック、95年にはフットワークアロウズからF1に参戦した“正真正銘の日本人F1ドライバー”だ。95年のハンガリーGPでマシンを消火しようとしたところ、マーシャルカーにはねられたドライバーとして記憶している人も多いだろう。

そんなタキ・井上だが、一部の日本人F1関係者から(失礼にも)ゲテモノ扱いを受け、ともすれば日本のF1史から「なかったコト」のように黙殺されてしまいがちな存在である。

ナゼか? それはタキが日本人で唯一、「自分は金でF1のシートを買った(汗)」と自ら言い切ってしまうドライバーだからである。日本のレース界でほぼ無名に近い存在だった彼が、自分の交渉能力だけで資金をかき集め、F1に「乗ってしまった」という点で、ほかの日本人F1ドライバーとはまったく異質な存在であったからにほかならない。

多くの日本人がF1に思い抱くイメージとは異なる、F1界の「もうひとつのリアリティ」こそが、今、まさに可夢偉の前に立ちはだかっている壁だ。その壁を、自らのマネジメント能力で乗り越えてしまったタキだからこそ、ツイッターでの発言には重みがある。

はたして、可夢偉のスポンサーをするというのは本気なのか? タキを直撃した。

タキ もちろん本気ですよ。ただし、本人がそれを望めばです。必要な額にもよりますが(汗)、スポンサーする気はありますし、それは可夢偉君にも直接伝えてあります!

そして、ザウバーが巨額の資金を必要とするウラ事情も語ってくれた。

タキ ザウバーの経営はハッキリ言って火の車ですね。僕も思わず消火器構えちゃうほどです(汗)。最近、創設者のペーター・ザウバーがチーム代表を辞めましたけど、アレも潰れる前に逃げたようなものですから。今、赤字が40億円ぐらいあるんで、このままだとホントに潰れちゃいます。

 で、特に厳しいのがフェラーリに支払うエンジン代金ですね。ルノーやメルセデスと違って、フェラーリは昔からエンジン代金の支払い期限を絶対に待ってくれないんですよ。そんなワケで、コレまでもフェラーリエンジンを使ったチームはエンジン代の支払いが滞ってみんな潰れてますからね!

フェラーリの取立てが、そんなに厳しかったとは……。ちなみに、F1現役時代のタキ・井上は決して「速いドライバー」ではなかったが、F1最高位8位という結果が示すように、「どーしようもなく遅かったワケでもない」コトを付け加えておこう。

(取材/川喜田 研)

タキ・井上ツイッター【https://twitter.com/takiinoue】

■週刊プレイボーイ47号「小林可夢偉 来季F1残留“3つの条件”」より