板尾さんが渋すぎて引き込まれてしまうユナイテッドアローズのサイト動画

写真拡大

ウェブサイトやスマートフォンを高度に活用した企業キャンペーンが花盛りだ。クライアントが予算を使って技術的な試行錯誤が促進されることは、IT業界にとって非常に歓迎できることである。

一方、企業のマーケティングを考えたとき、最大の効果が上げられているだろうか。アパレルブランドのユナイテッドアローズが展開するキャンペーン「UA TRANSFORM SHOW」は、「枯れた技術」でも効果的に活用できる事例のひとつといえるだろう。

全身コーディネートを写真アプリから投稿するだけ

指定された店舗で、胸元に「情熱接客」というオレンジ色のバッジをつけたスタッフに話しかける。そこで自分の10分間を預ければ、これまで試したことのないような服の組み合わせを提案してくれる。

提案された服を全部着て、写真アプリのInstagram(インスタグラム)で撮影、キャンペーンサイトでの公開を許可すると、モード系ファッション雑誌「GINZA」と共同制作した小冊子「UA KNOWS THE BEST」がもらえる。1万円以上購入すると10%割引のクーポン券がもらえるが、試した服を買うかどうかは自由だ。

投稿された写真は、キャンペーンサイトに表示される。知人に教えて「こんなコーディネートしてもらったよ!」「意外にいいじゃない?」といった話題のきっかけにもなりそうだ。、自分と同じ年恰好の人の写真を見て、「こういう感じの服を着てみようか」と刺激されるかもしれない。

ウェブサイトには、コーディネートの様子が動画で紹介されている。モデルは、お笑い芸人の板尾創路さんと、元ももいろクローバーのタレント・早見あかりさんだ。

板尾創路さんは、スタッフが提案した服装に着替えてご満悦だ。ベルベット素材のジャケット、グレーのパンツ、白シャツ、ネクタイ、ベスト、靴、サスペンダー…。板尾さんが画になるせいか、ちょっと惹かれてしまう。

キャッチフレーズは「あなたの世界を変える」

サイトではこのほか、お笑い芸人の鳥居みゆきさん、イケメンなのにネガティブで人気のモデル・栗原類さん、女優の草刈民代さんなど12名のタレントと、彼らが着用したアイテムを見ることができる。

キャンペーンのキャッチフレーズは、「あなたの世界を変える」。ユナイテッドアローズのスタッフが、お客の好みに合ったスタイルを提案するのは、まさに日常の仕事そのものだ。

ただし、予算の関係や、お店への気兼ねもあって、ジャケットやパンツだけという部分的な試着をする人がほとんどだろう。そこに、

「買うか買わないかは別にして、とりあえず全身コーディネートされてみる」「それを写真に撮ってネットで公開してみる」

の2つを加えるだけで、世界が大きく変わるように感じられるのは新鮮だ。

スタッフにとっても、普段は一人ひとりのお客さんにしか見せることができない自分のコーディネート力を、多くの人に見てもらえる場にもなる。品揃え力、スタッフのセンスが写真に現れることだろう。まさにお店が最も強みとするところだ。

これ以外、ウェブサイトには特にしかけが見当たらない。インタラクティブ性もない。それでもサイトには8600を超える「いいね!」がついている。これを「ソーシャルメディアを高度に駆使したキャンペーンで話題を広げたい」とやっきになる業界へのアンチテーゼと感じるのは、深読みしすぎだろうか。(岡 徳之)