お目当てのご当地グルメを効率よく手に入れるため、家族で分散して行列に並び、みんなで試食するのだという。

「殿堂入りの富士宮やきそば学会の焼きそばが楽しみ」というおばあさんもイベントを満喫している様子。

「地元とは一風変わった味付けや珍しい料理に出合えるし、日本全国を旅したような気分が味わえるのがいいね」と話してくれた。

そうこうするうちに、場内アナウンスが料理提供終了の午後4時を待たずに終了した団体がある、と告げる。

富士宮やきそば学会。

さすがは殿堂入り団体だ。

反面、4時近くになっても呼び込みの声を静めるどころか、ヒートアップさせる団体も多数あったのが印象的だった。

さて、2日目。

夏が戻ってきたかのような陽気。

アツアツの料理はさぞかし分が悪いだろうと思われたが、どっこいどのブースも長い行列が続き、評判が高い団体の最後尾では45分待ちとか1時間待ちという札も立つ。

シーサイド会場では巨大な総合展示場の一階スペースをフードコートとして開放。

館内のテーブルはすでに午前中から家族連れらで満席だ。

座れなかった人たちは持参したビニールシートを広げて思い思いに地面でくつろぎ、料理に舌鼓を打っている。

ステージ上では各参加団体のPRイベントが行われており、ご当地アイドルの参加やコスチュームでの熱演が繰り広げられていた。

投票終了はこの日の午後3時。

それを待つまでもなく料理提供終了を告げるアナウンスが聞こえ始め、筆者も試食に大わらわ。

もちろん全てを食べることは無理だから入賞団体を予想しながらの試食となるが、できれば入賞団体の味は逃したくないもの。

ここで筆者の印象に残った団体をいくつか紹介しておこう。

まずは岡山県の瀬戸内海に浮かぶ島々、日生(ひなせ)町からやってきた日生カキオコまちづくりの会。

カキが名産とあって、ここの売りはカキのお好み焼き、略してカキオコ。

鉄板上でジュージューと音を立てる生地の上に大粒のカキが惜しげもなく乗せられている。

ひと口いただくと、カキのうまみと香ばしいソースの味、それにほんわか焼き上がった生地がドッキングして、おいしさが口の中を直撃。

お土産にもうひとつ欲しくなった。

今回ぜひ食べてみたかったのが、青森県からやって来た八戸せんべい汁研究所の八戸せんべい汁だ。

出展される料理が歴史的に新しいものが多い中、せんべい汁は当地で200年以上前から食べ継がれてきた。

いったい、どんな味なのか? いただいてみると、しょうゆベースの汁に山盛りの野菜が入り、そこに汁をたっぷり吸ったせんべいが入っている。

せんべいはもっちりしていて程よい弾力があり、とてもうまい。

のぼりに書いてあったアルデンテとはこのことか。

パンチのある味が多いご当地グルメの中にあって、せんべい汁のやさしい味わいはかなり印象に残った。

そして、秋田県の男鹿(おが)やきそばを広める会。

4年前からまちおこしの準備を始めたといい、今回で2回目の出展だ。

担当者に話を聞くと、前大会は男鹿名物なまはげを登場させたものの数が少なくてインパクトに欠けたため、今年は6体も導入。

巻き返しを図っているという。

料理は地元に伝わる伝統の調味料「しょっつる」を使った男鹿焼きそばだ。

麺には海藻を練り込むこだわりよう。

見た目もカニツメやエビで彩りを添え、とてもぜいたくだ。

いただいてみると、あっさりした塩味。

ほんのり立ち上がる海の香りに酔いしれるうち、みるみる箸が進み完食してしまった。

それにしても2日目は前日に増しての賑(にぎ)わいようで、午後3時を過ぎても人の波が引かない。

リバーサイド会場はまともに歩けず、人の流れに沿って動かないと移動できないほどだった。