「PC筋を鍛えることによって、勃起力低下が改善する可能性がある」と語る中村剛先生

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近頃、勃起の持続時間が短くなり、性交時に射精できない“膣内射精障害”が若者の間で蔓延している。その原因のひとつと言われるのが、「PC筋」なる筋肉が弱まっていることだという。

そもそもPC筋とは何か。20年以上も泌尿器科の専門医として第一線で活躍している、東京・飯田橋中村クリニックの中村剛先生が説明する。

「骨盤底筋という筋肉のことで、英語で『Pubo Coccygeus muscle』。これは排泄をうまくコントロールする筋肉であり、尿道と肛門を締める役割を果たします」

骨盤底筋は肛門の前後に位置する、深会陰横筋、尿道括約筋、肛門挙筋、尾骨筋の4つの筋肉の総称だ。

「PC筋は犬や猫などの動物の場合、尻尾を動かす筋肉として使われているんですが、人間には尻尾がないのでもともと弱い筋肉なんです。それに加え、動物たちと違って現代社会の人間は仕事でもプライベートでもパソコンを多用したりして、ともかく椅子に座っている時間が長いため、PC筋がダメージを受けて弱体化してしまっているんですよ」

このPC筋が弱くなると、性行為の際にいわゆる“中折れ”したりするようになるという。

「そもそも勃起というのは、男性器の海綿体の動脈に血液が集まった状態。PC筋はその集まった血液を海綿体から元に戻りにくくする働きをします。ですから、PC筋のトレーニングをすることで、勃起の持続時間が延びる効果が望めるんです」

PC筋を強化することで、持続力が上がるというワケか。

「PC筋が弱っていることが“中折れ”の原因のすべてではないですが、PC筋を鍛えることによって改善する可能性はあります。また、まだ“中折れ”などの勃起力低下に悩んでいない方でも、予防対策のひとつとして今のうちからPC筋トレーニングしておくのもいいでしょう。実際、25歳ぐらいから30代前半といった若い方でも勃起力低下に悩んでいる人はとても増えていますからね」

実際、中村先生のもとには、中高年だけでなく20代、30代の患者からの相談も後を絶たないそうだ。日常的に長時間デスクワークしている人は、射精や朝勃ち後にすぐ萎えたりしていないか、注意してみてほしい。

(取材・文/昌谷大介 照井琢磨[A4studio])