災害時、ライフラインとしての郵便サービスはどうあるべきか――国連の専門機関、万国郵便連合(UPU)が、日本における東日本大震災時の経験などを研究することになった。日本側としても積極的に教訓共有に協力する方針だ。

サッカーファンには馴染み深い「ドーハの悲劇」で知られる中東カタールのドーハで、UPUの大会議(4年に1度の総会)がこのほど開かれ、上記「研究」を盛り込んだドーハ郵便戦略が採択された。2008年の中国・四川大地震や09年のイタリア・ラクイラ大地震などの影響もあり、UPU内でも災害時における郵便サービスの役割に関心が高まっていた。

日本、初めて郵便業務理事会の議長国に

2012年10月8日(現地時間)、大会議の閣僚級会合パネルセッションで、日本発のこんな2分弱の映像が、英語の字幕付きで紹介された。東日本大震災の避難所で、現日本郵便(10月1日に統合)の職員らが、郵便物を避難民の人たちに手渡したり、津波被害を受けた跡らしき場所で、泥だらけになった郵便車から郵便物を取りだそうとしたりする活動を伝えたものだ。映像が終わると、各国代表らが集まった会場からは拍手が起こった。

同セッションで映像を紹介した森田高・総務政務官は、「東日本大震災で、携帯電話などが(現地で)機能しない中、郵便がライフラインの役割を果たした」などと説明。さらに「日本は、震災の教訓を世界に共有する」と意欲を示した。

その後、10月11日の本会議で、「東日本大震災の経験」の研究を含む郵便戦略が採択された。

総務省などによると、UPUは今回の戦略採択を受け、2013年から研究を実施予定で、日本側からも積極的に協力する方針という。

郵便戦略には、日本人にはやや意外な項目も盛り込まれた。「住居表示を普及させよう」というもので、ある出席者によると、開催地のカタール・ドーハでも住居表示がなく、郵便物は戸別に配達されるのではなく、私書箱を通じて受け取る仕組みだそうだ。

また、日本は今回初めて、UPUの郵便業務理事会の議長国として当選した。日本代表として、日本郵便・郵便事業総本部の目時政彦・国際事業部長が議長に就任する。大会議は10月15日、閉幕した。