私たち人間は、最も身近である自分の体について、あまりに知らなさすぎではないでしょうか。何となく動かしている体ですが、実は理にかなった機能を搭載しており、生命と健康を守るために、私たちが知らないところで、それぞれの器官が24時間働き続けているのです。

 書籍『面白くて眠れなくなる人体』では、順天堂大学医学部教授の坂井建雄氏が、人体の不思議について紹介しています。

 例えば、逆立ちで食事をとると、一体どうなるのでしょう。

 引力などを考えると、無理やり飲み込んだとしても、すぐに逆流するのでは、と考えがち。しかし、食道は、平べったい筋肉の管。筋肉に食物を挟みながら胃まで送っているのです。

 「食物が食道を通過するときは、歯磨きのチューブをしごいて中身を出すように、食道の筋肉が収縮と拡張を上から下へと移る『蠕動運動』によって、食物を下へと送っています。そのため、食道の内壁からは粘液が分泌され、食物が通りやすくなっています」

 つまり、逆立ちをしても、横になっていても、食物は逆流することなく、胃に運ばれるとのこと。

 食道と胃をつなぐ入口は、いつもは筋肉で塞がっており、食物が胃の入口に届くと反射的に開きます。この入口の筋肉は胃からの逆流も防ぎます。しかし、暴飲暴食や食べ過ぎの場合は、胃が消化不良をおこし、入口の筋肉の開閉がうまくいかなかったりすることも。逆立ちして食べても何の問題もないのに、この時ばかりは逆流することがあるのです。

 また、「ラーメンを食べるとなぜ鼻水が出るか」についても触れています。鼻は匂いをかぐだけでなく、空気を取り入れる機能もあります。

 「鼻の奥には鼻腔という空間が広がっており、鼻腔の粘膜からは粘液が分泌されています。粘液は、呼吸で吸い込んだ空気中のゴミやホコリを吸着して清浄化し、肺に送っています。

 また、肺の中を常に適温・適湿を保つために、鼻は冷たい空気を温めて、熱い空気を冷やし、空気が乾燥しているときには潤いを与える『ラジエーター』の役目にもなっています」

 こういった機能がラーメンを食べているときにも機能するようで、湯気の水蒸気は鼻で冷やされ、水になり、鼻水となって垂れてくるのです。

 このように、食道の筋肉は逆流を防いでおり、鼻は肺の中の温度・湿度を保つために、知らないあいだに働いているのです。しかし、こういった機能はごく一部のもの。こうしてコラムを読んでいる間にも、人の体の裏側では様々な機能が躍動しているのです。

 ちなみに、逆立ちをしながらラーメンを食べたらどうなるのでしょうか。ラーメンを飲み込むことはできるが、鼻水が目に入って食べにくい......。そんなところでしょうか。



『面白くて眠れなくなる人体』
 著者:坂井 建雄
 出版社:PHP研究所
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