宮崎あおいを一蹴した吉永小百合のスターパワーに魅せられる! 映画『北のカナリアたち』 【最新シネマ批評】

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ご紹介するのは11月3日公開の吉永小百合主演作『北のカナリアたち』です。吉永小百合はスター女優だけど、若い女性にとってはなじみがないかもしれません。そんな彼女の主演作を今回ピックアップした理由は、『北のカナリアたち』のベースが、湊かなえの小説だからです(「二十年後の宿題」:「往復書簡」収録)。あのベストセラー『告白』は映画化もされ大ヒット! WOWOWドラマ「贖罪」も評判になりました。

ドロドロの人間模様にひきつけられる湊作品ですが、そのドロドロ世界で、吉永小百合はどんな風にもがくのか……と、興味をそそられたわけです。ところが! 『北のカナリアたち』は、吉永小百合が湊かなえの世界を自分に引き寄せて浄化した作品になっていました。

物語の舞台は、北海道の離島。ここの小学校に赴任することになった川島はるは、6人の生徒の担任になります。はるは、生徒たちに合唱を教え、生徒たちはやさしいはる先生に惹かれていきます。ところが、ある事故をきっかけに、はる先生は島を追われるように出て行くことに……。それから20年後。6人の生徒のひとりが殺人事件の容疑者に挙げられ、そのまま行方をくらませてしまいます。刑事に逃亡中の容疑者のことを聞かれたはる先生は驚き、元生徒たちを訪ね歩いて、居所を聞き出そうとします。そのとき、忘れがたい過去の事故が、はると元生徒たちの胸に再び浮かび上がってゆき……。

『北のカナリアたち』は、吉永小百合ありきの映画です。吉永小百合の持つ清らかさが鍵となっているのです。ネタバレになるので多くは語れませんが、すべてが明らかになったとき、記者は「えっ!」と軽く驚きました。『北のカナリアたち』は、はる先生と生徒たちの20年の時を隔てた心の交流であり、生徒たち同士の友情物語でもあります。でもそこに、はる先生を通して、過去と現在の謎を散りばめることで、これがまた絶妙なスパイスになっているのです。

ちなみに生徒を演じる子供たちはオーディションで選ばれ、中には演技経験がない子もいました。合唱がキーワードになっているので、歌のうまさで選んだそうです。吉永小百合は、そんな子供たちにいつも優しく、寒いときは手を握り、頬を優しく包んであげたそうです。中には「うちのお母さんより優しい!」という子もいたそうですよ。子供たちにとっては、お母さんよりおばあちゃんに近い年齢だと思うのですが、まだまだお母さんと比べてもOKなのが、吉永小百合。さすが永遠の乙女って感じです。実際、映画でもとてもお美しく、若い頃のイメージを損なわず、維持しているのに驚きです。もう国宝級の存在では?映画ではキスシーンもありますが「え、キスとかしちゃうの?」とドキドキしましたよ。

映画『北のカナリアたち』は、湊かなえの「二十年後の宿題」とはヒロインのキャラクターやストーリーは改変されていますので、この映画には原案という形でかかわっています。でも湊さんは「吉永小百合さんの出演作で、東映60周年記念映画に、原案としてかかわることができるなんて、夢が叶いました」と、原作の忠実な映画化ではなくても、大変喜ばれているようです。

あまりにも清らかで、悪く言えないオーラを放つ吉永小百合。この映画には、森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平と、若手人気俳優が総出演しているのですが、みんなわき役のようです。唯一、森山未來はインパクトを残していましたが……。人気の若手が束になってもかなわないのが凄い。『北のカナリアたち』は、ある意味、吉永小百合のスターパワーをギュっと詰め込んだ映画でもあるのです。

(映画ライター=斎藤 香)

『北のカナリアたち』
2012年11月3日公開
監督:阪本順治
出演:吉永小百合、柴田恭兵、仲村トオル、森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平、里見浩太朗、小笠原弘晃、渡辺真帆、相良飛鷹、飯田汐音、佐藤純美音、菊池銀河
(C)2012「北のカナリアたち」製作委員会


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