そして、いざ妻を褒め始めたら中途半端に終わらないよう、徹底的にそれを継続するといい。

この「徹底的に」こそが、今回のもうひとつのキーワードである。

一般的に男性は、恥ずかしさからか、もし妻を褒めるなら「厭味にならない程度にさりげなく」と考えがちだ。

しかし、実際にはその「さりげなく」が一番恥ずかしい。

これは人前(宴会など)で一発ギャグなどを披露するときの感覚になんとなく似ている。

恥ずかしさを隠すように、気取りながら演じたほうがかえって顔が熱くなり、見ているほうにも痛々しさが伝わってきたりするが、ここはひとつ開き直って、大胆に道化になりきれば意外に羞恥心がなくなり、気分がやけに高揚したりする。

褒めるという行為もこれと一緒で、控えめに相手を褒めたほうが妙な恥ずかしさを感じるもので、その後の会話もしどろもどろになりがちだ。

したがって、相手のことを褒めるなら、執拗かつ徹底的に「褒めまくる」という領域まで針を振り切ったほうがいい。

はっきり言って、ゲームみたいなものである。

間接的な褒め言葉を執拗に繰り出し続けることで、いつのまにか羞恥心を感じる神経が麻痺していき、「次はどうやって褒めてやろうか」などと妙なテンションになってきたりする。

ランナーズハイに近いかもしれない。

褒め言葉のラッシュは、シンプルだが効果的な夫婦円満の秘訣だ。

褒めるという行為をなめてはいけない。

一見平凡かもしれないが、真理とは常に平凡の中にあるのだ。



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