豊島逸夫の「ゴールド」事始めガイド(1)--今後の金価格はどうなる?

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価格上昇が続き、マイナビニュース読者の中にも、金投資への興味は高い。

そこで、金投資の第一人者、元ワールド・ゴールド・カウンシル日本代表の豊島逸夫さんに3回にわたって、金投資についてのアドバイスをインタビューした。

――金価格はここ10年上げ続けていますが、それはなぜなのでしょう?確かに金価格はここ10年上げ続けています。

株式が振るわない時期が多いなか、なぜ、金価格はこのように上がり続けるのかよく聞かれますので、まずはその点をお話ししましょう。

金価格の今までの動向が一目でわかる資料として、ご覧いただきたいのが、「米国マネタリーベース」です。

これは、FRB(連邦準備制度理事会)が米国の商業銀行に対して供給しているお金の量です。

1980年からリーマンショック前まではだいたい一定ベースの増加でした。

ところが、リーマンショック直後から、もう明らかに異常な、激増どころか、ほぼ棒上げに近いような形で増えているのがわかります。

これがまぁ、「QE=量的緩和」というもので、よく見るとこれ”二段ロケット”みたいになっているのです。

最初の部分が「量的緩和1回目=QE1」、それから次のアップ部分が「量的緩和2回目=QE2」と呼ばれています。

そしていま、さらにこの9月に3回目を実施しましたが、この際FRBは「米国の経済がよくなるまで、量的緩和を無限大にやります」と宣言したのです。

それで私は、「QE∞(無限大)」と呼んでいるのです。

そして、この間の金価格推移も一緒に見てください。

マネタリーベースとほぼ連動する形で上昇しているのがわかります。

ただここで最大のポイントは、この間に金の生産量は10%足らずしか増えていない。

生産量はちっとも増えていないのに、市中にばらまかれた米ドルがこれだけ増えてしまっている。

その結果、金の価格はどうなってしまったのか。

上がるしかないわけです。

これが、金価格が上がった最大の理由といっていいでしょう。

ただし、ここで私が言いたいのは、何も金の価格が上がっているのではないということ。

要は生産量は全然増えないのに、市中に出回っている米ドルのお札ばかり増えたら、金1gを買うのにいったい何ドル支払わなければいけないか、ということになるわけです。

一言で言って、金の価格が上がっているのではなく、ドルの価値が薄まっているんだよ、希薄化しているんだよ、ということです。

このポイントをしっかり抑えていただきたいです。

金価格はどこまで上げるのか、これもよく聞かれる質問です。

株でも、不動産でも、そして金でも、いつまでも上がり続けるはずはない。

それはそのとおりだと思います。

そういう意味で、海外ではポーンと1900ドルまで上がった金価格ですが、今はいわゆる調整局面に入って、1500ドル台にまで下げ、現在1700ドル台で調整局面となっています。

そして「今後の金価格はどうなる?」という話でいけば、短期と長期の話に分かれると思うのです。

長期ということで、2013年、来年通しての見通しということになると、金の価格は下がるっというほうがおかしい。

なぜなら、米国は「QE無限大」ですから、これからしばらくはさらにお札をばらまき続けるでしょう。

日本もご存じのとおり、日銀が追加緩和をしている。

そして、どうも来年あたりはECB(欧州中央銀行)も追随しそうな状況なのです。

つまりそれぐらいギリシャとスペインの債務危機が深刻で、緊縮政策を余儀なくされている。

緊縮するってことは、要は景気が悪くなっているとうことです。

その結果、来年はどうやら、欧州経済がマイナス成長になる予測のようなのです。

そうなるとECBも、FRBと日銀のあとを追ってユーロもばらまく、とこういう構図が展開しそうなのです。