経済キャスター・鈴木ともみが惚れた、”珠玉”の一冊 (25) 「TPP」や「FTA」は世界を斬り刻む!? 浜矩子氏が語った”通商”の真実とは?

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経済キャスターの鈴木ともみです。

今回は、日本が世界に誇るエコノミスト・浜矩子さんの新著『誰も書かなかった世界経済の真実〜地球経済は再び斬り刻まれる〜』(アスコム)をご紹介します。

『通商』というテーマを軸に、世界経済の真実、グローバル経済の今とこれからが、わかりやすくまとめられています。

タイトルの「誰も書かなかった」は「誰も書けなかった」という意味でもあり、私たち誰もが理解していなかった真実と言えます。

同書は、その真実が明快に解析された珠玉の一冊です。

鈴木 : 浜先生にはこれまでに何度か取材させていただいてるのですが、いずれもテーマは『通貨・ユーロ』についてでした。

それが今回は『通商』がテーマ。

読ませていただくと、先生の深い造詣と熱い思いが伝わってきます。

『通商』をテーマとされた背景には、「満を持して!」という意識がおありだったのでしょうか?浜 : 満を持して…と言えば確かにそうだと言えるかもしれません。

私は常々「FTA」や「TPP」に対する世の中の解釈が間違っている、解説される方々も勘どころがハズレている、と感じていました。

また、皆さんの関心が「通商」から「通貨」へと変わっていくなかで、実は、「通商」の領域で本当に怖い事態が起こりつつあるということをお伝えしたいと思っていました。

それで、時あたかも「TPP」議論が注目を集め始めたこのあたりで、全面的に『通商』にフォーカスし、その実像と怖さを追求してみたいと考えたのです。

鈴木 : その狙いについては、同書のプロローグ部分に託されていますね。

鈴木 : プロローグを読むだけで、グローバルに行き交うマネーの変遷、地球サイズでの「通商」と「通貨」の攻防・関係性を俯瞰して捉えることができます。

「通商」と「通貨」は、本来、車の両輪であるべきなのですよね。

浜 : はい。

「通商」はモノの世界。

「通貨」はおカネの世界。

この双方の足並みが揃わなければ、安定的な共生が成立しないのです。

今は、おカネの世界が、モノの世界よりも大きくなりすぎ、国々の依存関係を壊す撹乱要因になっています。

鈴木 : このいびつな関係性については、常に目配りしておく必要性があるわけですね。

そうしたなか、今日のグローバル経済において、各国が共存していくことのできる通商・貿易関係とはいったいどのような形を指すのか? 現状の通商風景の問題点はどこにあるのか? その点を探るべく、第1章では、TPP・FTA・EPA各々の内容や関係性が丁寧にまとめられていますね。

鈴木 : TPP交渉の対象分野は24分野もあり、多岐に渡っていますね。

日本政府の整理・分類によれば21分野に上ります。

浜 : そうなのです。

日本での報道のされ方を見ていると、主に農産物中心のイメージに偏りがちですが、それではTPPの全貌は見えてきません。

鈴木 : 交渉分野は「物品市場アクセス」「電気通信サービス」「金融サービス」「投資」「環境」「労働」「知的財産」に至るまで多種多様な業種・業界が対象となっています。

改めて驚きました。

ぜひ同書を読んで読者の皆さんにも確認してもらいたいと思います。

浜 : まず、TPPが単なる日本農業の保全問題ではないということをご理解いただきたいですね。

鈴木 : 各々の通商形態とその実態を把握できたところで、第2章からはタイムスリップの旅が始まりますね。

この発想がおもしろくて読みやすい!浜 : ありがとうございます(笑)。

通商の歴史書というのは、どうしても読みづらい難しい書になりがちなのですが、できる限り、読者の皆さんの頭に入りやすい表現の仕方を試みました。

史実を整理しやすくするために、タイムスリップした時代ごとに区切って「世界経済史年表」も付けています。