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日本は原子力発電を放棄してはいけない。原発の慎重な再稼働こそが、日本にとって責任ある正しい選択である。日本がロシア、韓国、フランス、そして中国に立ち遅れる事態はさけるべきであり、日米両国は連携を強化し、福島原発事故の教訓に基づき国内外における原子炉の安全設計および規制の実施面でリーダーシップを発揮すべき――。

国内では原発全廃の議論が盛んな中、米国戦略国際問題研究所(CSIS)のリチャード・アーミテージ元国務副長官、ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授を共同座長とした「アーミテージ・ナイ報告書」(以下、アーミテージ報告書)の中の一文だ。日本に原子力発電の維持を強力に迫っている。

元軍人で国務副長官だったアーミテージと「ソフトパワー」(※)の生みの親であるジョセフ・ナイ教授がまとめた「アーミテージ報告書」は、事実上の米国による対日要求だ。

過去、2000年10月、2007年2月と2回出されており、時々の日本の政権・政策に大きな影響力を発揮してきた。それだけに今回の同報告書の内容も、いずれ日本の政策に大きな影響を与える可能性があり、その内容を十分に注視しておく必要がある。

具体的な対日要求とも言うべき提言事項としては、冒頭の原子力発電を放棄することなく、原子力発電分野でリーダーシップを発揮すべき、というもののほか、エネルギー関係では、石油については、「日本にとって中東情勢の安定は重要であり、イランの核開発問題を始めとする脅威に立ち向かう国際社会の努力により積極的に参加するべきである」としている。

さらに貿易関係については、「環太平洋連携協定(TPP)への参加に加え、北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国との間で、包括的エネルギー安全保障協定を締結し、日米間の提携を強化する」ことを提言している。

日本では民主党、自民党の両党内部が党首選などでガタつき、さらに、総選挙の可能性もあることから、このアーミテージ報告書への反響は意外に小さい。しかし、日米同盟の行方、米国の対日要求ということで中国、韓国などが非常に興味を示している。

米国が原発の存続と発展、また、TPPへの参加を要求してきている以上、今後、これらの問題が相場のテーマとして浮上する可能性がありそうだ。

※ソフトパワー=武力や経済力などの強制力に頼らず、文化や価値観、政策などの魅力への支持から、国際的な信頼や発言力を得る、というジョセフ・ナイ教授が提唱した考え方。



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この記事は「WEBネットマネー2012年12月号」に掲載されたものです。