8組に1組のカップルが不妊に悩み、その原因の48%は男性にあるという。「男の妊活」は他人事ではない。

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「就活」「婚活」に続いて最近よく目にするのが「妊活」という言葉。「妊娠活動」を略して「妊活」。広義には婦人科系の健康管理や子作りも含まれるが、狭義では不妊治療のことを指すことも多い。

なんでも「○○活」と略せばいいってもんじゃないぞ、思う人もいるかも知れないが、そのライトな語感とは裏腹に妊活は深刻な社会問題だ。

晩婚化やそれに伴う晩産化で、不妊は数十年来ひそかながら切実な問題となっており、女性誌ではお馴染みのテーマとしてしばしば取り上げられている。しかし男性の認知は低かった。

ところが今年に入って「妊活」という言葉が市民権を得だすと、ビジネス誌である「東洋経済」(2012年7月21日号)や「AERA」(2012年9月10日号)が大々的に特集したり、オモシロを身上とする「週刊SPA!」(2012年11月6日号)がシリアスな特集を行ったりと、にわかに「男の妊活」に注目が集まるようになってきた。とはいえ男性の知識と認識レベルは女性と比べるとまだまだ圧倒的に低い。

「来院される方の7〜8割は夫の方が治療に消極的ですが、多くの場合それは不妊治療に対しての誤解からきています」

そう話すのは、不妊治療で高い実績をあげるメディカルパーク湘南院長の田中雄大さんだ。

「男性の方が不妊治療に対して不勉強な場合が多く、その結果『治療は自然なことではないので良くない』と決めつけてしまう場合があります」

しかし実際の治療には様々な段階があり、少し手助けをするだけで妊娠率が格段に向上することもある。

また男性が消極的なことによって女性に大きな精神的な負担を課すこともある。男性側の行う基本的な検査は血液検査と精液検査しかなく、女性と比べると圧倒的に楽にも関わらず、その検査さえ受けたがらない男性が来院する患者の中の3割程度いるという。

「男は射精しますから、それだけで『自分は大丈夫だ』という根拠のない自信を持ってしまいがちです」(週刊SPA!「男の妊活」担当編集・田辺健二さん)。

もちろん射精をしたからといって不妊と無縁というわけではない。一昔前までは不妊は女性の問題と思っている人が多かったが、実は原因の48%は男性にあるのだ(WHO調べ)。

また「自分の方に不妊の原因があったら」という男性側の恐怖心も見逃せないと田中院長は指摘する。治療のほとんどは精神的にも肉体的にも圧倒的に女性に多くの負担を強いるにも関わらず、沽券にだけこだわって検査ひとつ受けられない情けない夫が多いというのが現実らしい。

それでは妊活をこれから考えようという人はどうすればいいのだろうか。ポイントを田中院長に聞いてみた。何から始めればいいのだろうか。

「まずは基礎体温表を自分たちでつけてタイミングをはかってみてください。そして治療を考えるなら、必ず夫婦で一緒に受診してください。一度でもクリニックに足を運ぶと当事者意識が芽生えてきます。そのことによって夫婦二人三脚で臨めるようになり、その後の治療がスムーズになります」

クリニックの選定のポイントは?

「実は病院がHPで公表しているデータは、我田引水のその病院に都合のいいものが多く、あてにならないこともあります。体外受精を年間300件以上行っている施設なら技術の差はないでしょう。ただ治療方針や考え方は様々なので、きちんと選択肢を説明してくれ、自分が信頼できると思うところを選ぶのが大事ですね。また長期戦になることもありますので、通院が苦にならないことも重要です」

最後に妊活を考える男性に何かメッセージはないか尋ねてみた。

「不妊治療は夫婦が一緒になって進めて行くものです。男性の関わりと思いやりが大きいほど、女性は安心して治療を継続できるものです。何度でも病院に足を運んで下さい。旦那さんがいつも寄り添っていてくれる事、これ以上に心強いサポートは無いと思います」
(鶴賀太郎)