いつまで引き立て役に甘んじているのか。10月6日から秋巡業が始まったが、大相撲界は相変わらず新横綱日馬富士(28、伊勢ケ浜)一色。本格的な横綱始動となった10月1日の全日本力士選士権(両国国技館)でも、2場所連続で全勝優勝した秋場所の勢いそのままの相撲で優勝したが、このとき決勝戦でまたしても敗れ、日馬富士においしいところを持っていかれたのが稀勢の里(26)だった。
 「日馬富士が稀勢の里をかっこうの稽古相手とみなしているのは確かです。アイツは稽古場でも一切手抜きせず、負けるとものすごく悔しそうな顔をする。それを見るのが実に楽しいんだ、と話し、綱取りに成功した秋場所前も4日連続して稀勢の里と稽古し、自信をつけて場所に臨んでいます。言わば、稀勢の里は横綱日馬富士の生みの親で育ての親。期待の大関がこんな状態では当分、日本人横綱が誕生するのは無理ですね」(大相撲関係者)

 そういえば、稀勢の里がいかに日馬富士に甘く見られているかを象徴するようなこんなシーンも。
 「力士選士権の2日前の元関脇栃乃洋の引退相撲のときですが、稀勢の里が新横綱に敬意を表して挨拶すると、日馬富士が支度部屋中に響き渡るような声で言ったんです。『お前、オレが横綱になって喜んで泣いたんだよな』って。稀勢の里は顔を真っ赤にして唇を噛んでました」(担当記者)

 日馬富士が白鵬を破って全勝で綱取りを決めた直後のこと。負けた白鵬は大音量で流れる日馬富士の優勝インタビューから逃れるように風呂場に飛び込んだが、稀勢の里は、「(日馬富士は)強かった。学ぶべきところはいっぱいある」と話し、テレビに映る日馬富士の誇らしげな姿から目を離さなかった。
 この前向きな姿勢に期待するしかない。