太陽は燃えていない?




太陽系の中心にあって、私たちの地球を暖かく照らしてくれている「太陽」。



地球からちょうどいい距離に太陽があって、地球を適度な気温に保ってくれているため、水が液体で存在し、動物や植物も生きられる惑星となっています。



また最近では、地球に優しいクリーンエネルギーとして、太陽エネルギーを活用することも増えてきました。



このように、地球上の生物は太陽からいろいろな恩恵を受けていますが、その莫大(ばくだい)なエネルギーはどのように生み出されているのでしょうか。



今回はそんな太陽がエネルギーを生み出す仕組みについて迫ってみたいと思います。





■ 太陽は燃えていない?



皆さんご存じのとおり、紙に火を近づけると紙は燃えてしまいますが、このように、物質が燃えることができるのはなぜでしょう?



それは、酸素があるからで、物質が燃えるというのは、その物質が酸素と化合する際に熱と光を発する現象のことを言います。



地球の大気には酸素が20%程度含まれているため、それを使って物質は燃えることができます。

しかし、太陽には酸素がほとんどありません。また真空の宇宙空間にも酸素はありません。



それでは、なぜ太陽はあんなに激しく燃えることができるのでしょうか。



実はこの質問自体が間違っています。



太陽は、本当は燃えてなんかいないのです。



■ 太陽が輝いている理由



太陽があのように光り輝くことができているのは、燃えているからではなく、「核融合反応」によるものです。



物質は、温度をどんどん上げていくと、やがて原子がプラスの「原子核」とマイナスの「電子」に分離し、いわゆる「プラズマ」の状態になりますが、核融合反応とは、原子核がプラズマ状態で融合することによって、まったく別の重い原子核に変化する反応のことを言います。



太陽は、その約73%が水素からできており、その内部では4個の水素原子核が融合して1個のヘリウム原子核が作られる核融合反応が起こっています。



このとき、水素原子核4個とヘリウム原子核1個の質量を比べると、ヘリウム原子核1個の方がわずかに軽いです。核融合反応によって質量が軽くなる分は、別のエネルギーに変換されますが、このエネルギーこそが太陽の光や熱なのです。



■ 太陽の寿命



それでは、太陽はあとどれくらいの寿命が残っているのでしょう。



太陽は誕生以来、この核融合反応を繰り返すことで光り輝いているため、太陽に存在する水素原子とヘリウム原子の量を調べることで、すでにどれくらいの核融合反応が起こり、今後どれくらいの核融合反応を起こすことができるのかを推定することができます。



物質(原子)の量や割合は、決まった波長の光の分布具合を調べることで分かりますが、この方法に基づいて調査すると、太陽は誕生からすでに46億年近く経過しており、今後も50億年ほどはこの核融合反応が続くだろうと考えられています。



■ 「核融合反応」と「核分裂反応」



「核融合反応」と聞くと、東日本大震災の発生以降、何かと話題になっている原子力発電所の仕組みをイメージされる方がいるかもしれません。



しかし、原子力発電所の仕組みは、太陽の核融合反応とはまったく逆の「核分裂反応」によるものです。



核融合反応は、水素からヘリウムが作られるなど、軽い原子が重い原子に変化する反応ですが、核分裂反応はウランやプルトニウムといった重い原子の原子核が中性子を取り込んで、軽い原子に分裂する反応です。



原子力発電所では、この分裂のときに発生するエネルギーを原子炉で取り出して、電気に変換しています。



■ まとめ



今回は、太陽エネルギーが生まれる仕組みについて紹介しました。



太陽は燃えているわけではなく、プラズマ状態の水素原子核が核融合反応を起こすことで、あの莫大(ばくだい)なエネルギーを生み出しているのですね。



この太陽エネルギーをさらに効率よく利用することによって、きっと現代の深刻なエネルギー問題を解決できる日が来るでしょう。



(文/TERA)



■著者プロフィール

TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。