<会いたくなる挨拶メール>−時候の挨拶は簡略に、要旨は一画面で−−日本IBM理事 鈴木あや氏

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挨拶状などの書面だけで大きな取引がまとまることは、まずないといってよいでしょう。しかし営業としてのきっかけをつかむ役目は十分果たせます。

購買という仕事柄、ご挨拶をメールで受けることはよくあります。その中で、この人なら会ってみたい、話が聞きたいと思うのは、当社とビジネスをしたい、前向きな関係を築きたいという積極性と誠意が感じられる文面です。

目先の契約だけでなく、地に足のついた長期的なパートナーシップを望んでいることなども好印象を与えます。それにプラスして、取引先からみた顧客の最近の動向に目を配り、ニーズを先読みした提案が織り込まれていれば、なおいっそう積極性を伝えることができます。

挨拶メールの目的は企業同士のお付き合いですから、個人的な事項や時候の挨拶は簡略でかまいません。メールの目的や、次回のアクションに触れることのほうが重要です。

訪問日時の打診、同行者がいる場合は、その旨を知らせる。受け手側からすると、同行者の部署や肩書が前もってわかれば、相手がどんなレベルの商談をしたいのかを察知できますし、自社で誰を同席させればよいのかも想像がつきます。出会いをビジネスにつなげようという姿勢になりますね。

そうはいっても、冗長な書面に目を通すのは大変です。2次的な内容は添付ファイルやリンクを活用し、要旨は一画面で見渡せるよう、コンパクトにまとめてあると好感がもてます。

さらに重要なことは、面談の前の挨拶だけでなく、後のフォローもしっかりすることです。面談までたどり着いたものの、その後にフォローがないケースを時々みかけますが、仕事はそこからが本番です。面談のあとに、その日の打ち合わせ内容を要約し、お互いの宿題を明記したメモをメールしていただけると、非常に効果的なフォローになります。

挨拶状がきっかけであるとすると、クロージングに必要なのはフォローになる事後のメールです。上手な文章より、まずマメに「書く」ことによって、コミュニケーションを取り合うことが、より強い関係を築くためのいちばんの秘訣だと思います。

■鈴木あや氏が「挨拶メール」を添削!

×Before

(1)定型の挨拶では、堅苦しい印象を与えがち。

(2)顧客の会社関係のプロジェクトならはっきり書くべき。逆に、他社のプロジェクトであれば書かないほうがよい。

(3)自分の都合を優先したオファーと取られかねない。書くなら顧客への影響や対応を明記して追伸に書く。

(4)アポを取りたいなら、日程を具体的に書いたほうが対応しやすい。

(5)定型の締めより、顧客に貢献したいといった熱意を盛り込むとよい。

○After

(1)定型の挨拶より仕事の近況を

最初の挨拶は、文例集から抜き出してきたようなありきたりのものではなく、受け取る相手に関係がある仕事の状況や、感謝の気持ちなどを具体的に書くと印象に残りやすく、メールとして読み飛ばされにくくなる。

(2)アポ目的なら日時や同行者を

最終的にアポまでこぎつけたいなら、訪問したい日時や同行者の肩書をはっきり書くべき。話の内容や重要度が想像できるため、読み手が思わず返答したくなる可能性が強いうえ、事前の準備もしやすくなるはず。

(3)相手への貢献をアピールする

定型の締めを使うよりは、営業の基本中の基本である「相手の会社とともに成長する」ことに対する熱意を伝えよう。

(4)私的な予定は、追伸に書き添える

私的なスケジュールで、相手に影響を与えそうなことは本文ではなく署名の中の追伸に書き込み、対応策なども盛り込んでおくとよい。署名には名前だけでなく、会社の住所や電話番号、メールアドレスなどのデータをきっちり盛り込んでおくと、相手がコンタクトしやすくなる。

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日本IBM理事 鈴木あや(すずき・あや)
1957年、岐阜県生まれ。同志社大学卒後、84年IBMアジア・パシフィック入社。88年日本IBM購買部門へ。バイヤー畑を歩く。米国I BMコーポレーションを経て、2005年より現職。

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(石田純子=構成 木下明子=事例作成 澁谷高晴=撮影)