いい仕事してますね〜茶碗の話




江戸時代にこれにかぶれると「身代が傾く」と言われた趣味は、骨董(こっとう)、園芸、釣りだそうです。骨董(こっとう)は入れ上げている人がたくさんいます。骨董(こっとう)の王様と言えばやはり「茶碗」。茶碗は茶道の世界と切り離せません。奥深い茶碗の世界について、茶道裏千家、準教授の坂井宗季さんにお話を伺いました。



――茶わんが日本で珍重され出したのはいつぐらいのことなのでしょうか。



坂井準教授 お茶わんは元々中国から茶器として日本にもたらされたもので、時期としては奈良時代から平安時代にかけてのことと言われています。伝来した当初はやはり貴族の間などで珍重されていたのでしょう。



――茶わんが茶道において重要なものになったのはいつぐらいでしょうか。



坂井準教授 「侘び茶」は、室町時代の後期から戦国期にかけての時代、村田珠光から武野紹鴎と続き、千利休によって完成されます。お茶わんは茶の湯の歴史と共に珍重されてきました。



――その大事にされる茶わんですが、どのような種類に分けられるのでしょうか。



坂井準教務 まず作られた国による分類があります。唐物(中国)、高麗物(朝鮮)、和物です。唐物にもいろいろありますが、最も有名なのは天目茶わんですね。ほかに、青磁、白磁があります。高麗物ですと井戸茶わん(見立て)、御所丸茶わん(注文)でしょうか。和物ですと瀬戸茶わん(岐阜)、楽焼茶わん(京都)、美濃焼茶わん。ほかにもいろいろありますが。格付けでは「一楽、二萩、三唐津」なんて言われます。楽焼茶わん、萩茶わん、唐津茶わんのことですね。



――人気があるのはどんな茶わんでしょうか。



坂井準教授 例えば天目茶わんは村田珠光が注目したことによって一挙に茶わんのトップになりました。15世紀の唐物への関心の後に名もない朝鮮産の茶わんに広がりました。つまりこれが高麗茶わんです。そして利休は、唐物や高麗物に縁遠い茶人のために和物茶わんの時代を切り開き、最初に誕生したのが楽茶わんです。それぞれに歴史があり、それぞれお好きな方がおられますのでそれを一概に言うのは難しいです。また好きでも入手できるかどうかは別問題ですし(笑)。



――良い茶わんを入手するにはどうするのでしょうか。



坂井準教授 道具屋さんが開く展示即売会が開催されますので、そこで求めることができますね。また、ギャラリーで作陶作家さんが個展を開かれたりすると、そこで購入することもできますね。窯元さんを直接訪ねて購入する方もおられます。



――即売会というのは一般の人も入れるのでしょうか。



坂井準教授 それは茶道の先生のところへ招待状が来たりしますので、一般の方は難しいです。



――価格はどんなものなんでしょうか。



坂井準教授 それは本当にピンキリですね(笑)。裏にお値段が書かれた札があるのですが、ひっくり返してびっくりすることもあります。有名な作陶家が作られ、家元が箱書きをされているお茶わんなど大変にお高いですよ。



――どのくらいのお値段ですか?



坂井準教授 マンションの頭金ぐらいのものも珍しくありませんね(笑)。



――300万円とか、500万円とかでしょうか。



坂井準教授 ……(笑)。



――ちなみに坂井さんが「欲しいなあ」と思うお茶わんはどんな物ですか?



坂井準教授 私はあまり特別に欲しいものというのはないですが……(笑)。野々村仁清の作品は、お茶わんに限らず現代でも色あせることのない洗練されたデザインで魅了されています。



――いくらぐらいするものでしょうか。



坂井準教授 それはもう(笑)! 美術館にあるような物ですからお値段はとんでもないですよ。



――そういった貴重な茶わんは茶席で使用されるのでしょうか。



坂井準教授 珍重される高価なお茶わんは、一般的には観賞用として持ち出され、お茶をふるまわれることはほとんどありません。高価=古い=もろい ので、万が一壊してしまった場合、唯一無二の貴重な品物ですから、お金を積んで弁償できるものではないためです。お茶席で時計を含むアクセサリを外していただくのは、こうした事故を避けるための配慮でもあります。



やはり現代においても、珍重されるお茶わんは大変に高価でそんな簡単に入手できたり、間近に見たりできるものではないようです。お茶の世界は深いですね。







(高橋モータース@dcp)





坂井宗季さんのサイト

http://ameblo.jp/kishun/