突然ですが、クイズです。

 亡くなった母が大事にしていたジュエリー。葬儀のあとおばさんが「これは私にくれる約束だった」と言って持っていってしまいました。返してもらうことはできるでしょうか?

 答えはYES。「形見分け」とは、故人をしのぶために思い出となる品を親族や親しい人に分けて贈ることですが、法的には故人のものは全て"相続"の対象となるからです。なので、おばさんがジュエリーをもらえるのは、あなたやあなたの兄弟や父など、相続人全員が同意した場合になります。

 しかし、形見の行方というのは、普段の会話のなかではなかなか出てこない話題。では、自分の場合は? もし自分に突然万が一のことが起こったら、宝物だけでなく、葬儀のことなど自分の意思はきちんと反映されるのでしょうか。

 そんなとき役に立つのが「エンディングノート」。これは、葬儀に対する希望、相続に対する考え方など自身の希望を書き留めておくノートです。エンディングノートは遺言とはちがって法的な効力はありませんが、気軽に自分の意思を記録できる手段のひとつです。2011年の東日本大震災以来、「明日何が起こるかわからない。自分の命がなくなってしまう可能性もゼロではない」と誰もが感じたことでしょう。そんな不安を抱いてしまう日々の中で、万が一のことを誰かに託すためにと、エンディングノートの需要も、年齢・ライフスタイルの違いにかかわらず大きくなってきました。

 ですが、従来の「エンディングノート」とは、高齢者が終末期に書き留めておくもの。そこで、集英社は20〜40代を中心とする若い世代の女性が「もしも」のときにだけ役に立つだけのものではなく、その瞬間の大切な想いを未来に残せるノートを作りたいと考えました。

 製作にあたり、Facebookページ「未来に残すエンディングノート編集委員会」を立ちあげ、ユーザーから意見を募ったところ、
「私しか知らない子どもが泣きやむおやつのことを書いておきたい」
「突然何か起こったとき、親に可哀想と泣かれたくない。愛されて幸せだったこと、一生懸命頑張っていたことを、ちゃんと書いておきたい」
など、前向きな意見が寄せられました。

 最終的には1450人を超えるFacebookユーザーとリアルな会議も行い、ディスカッションを通じて完成したのが『Never Ending Note〜未来に残すエンディングノート〜』。葬儀のことなど従来の必須項目に加え、「語りつぎたい美味しい味」や「私の宝物」「幸せの記憶」など女性ならではの視点を取り入れた全く新しいエンディングノートです。

 本書でエンディングノートを体験した料理研究家の飛田和緒さんは、「家族のためと思っていましたが、作業を進めるうちに自分のために書いておくのもいいなと思いました。これからのことを考える時間になりました」と語っています。

 今までの人生を振り返るということは、過去の自分、現在の自分を見つめ直すこと。思い出を何でもデジタルの中にしまい込んでしまう今の時代だからこそ、あらためて書き出すことから見えてくる「未来」があるのかもしれません。



『【初版限定ハートポケット付箋つき】Never Ending Note ~未来に残すエンディングノート~ (雑誌編集単行本)』
 著者:未来に残すエンディングノート編集委員会
 出版社:集英社
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